作:伏見康治・安野光雅・中村義作 出版:早川書房
幾何学的な世界や芸術の見方。
それを幾何学に造詣の深い3人が、軽快な対談で垣間見せてくれます。
違った角度で世界が見える一冊です。
『美の幾何学』の素敵なところ
- 幾何学大好きおじさんたちのおしゃべり
- 幾何学で世界を見る目線
- 幾何学をより深く知るためのテキスト
この本の一番の素敵なところは座談会形式という所でしょう。
この3人のおしゃべりがおもしろいのです。
いうなれば、幾何学大好きおじさんが熱く幾何学について語り合うという感じ。
そのため、とても読みやすくわかりやすいのです。
わかりやすいと同時に、専門的な鋭い目線もたくさん出てきます。
人間の美の意識、原子や分子、数学の教え方まで、幾何学的に世界を見る面白さを、数理とほとんど関わってこなかった人にも十二分に伝えてくれます。
それだけでも魅力は伝わるのですが、さらに一歩深く知りたい人のために、所々幾何学についてのテキストが差し挟まれています。
それは座談会の中で話されたことを、一歩深く解説した内容です。
ぼくは数理に疎すぎてほとんど理解できませんでしたが、もう少し数理と触れ合ってきた方ならばかなりおもしろい内容だと思います。
ただ、テキストがなくても十分に面白い一冊となっています。
この本からの一番の学び・・・幾何学のおもしろさ・不思議さ
この本には幾何学の色々な側面が出てきます。
しかし、なんと言っても
「幾何学っておもしろい!不思議!もっと知ってみたい!」
という思いにさせてくれたのが、この本からの一番の学びだと思います。
対称や、結晶学、寄木細工、文様、アラベスク・・・と幾何学と関係ある様々な要素が出てきました。
特に、次元による見え方の違いや、数学を教える時に絵や幾何学をもっと使った方がいいと言った話はとても興味深い話題でした。
なにより、幾何学は出来上がった学問だと思っていましたが、新たな発見や他の学問や研究との関連で、まだまだ発展し続けている学問だということも意外でした。
まとめ
とっつきにくいイメージの数理や幾何学の「魅力・おもしろさ・不思議さ・美しさ」を、飾らず、ざっくばらんに伝えてくれる一冊です。
コメント
≪…美の幾何学ー美のたくらみ、人のたくみー…≫に出会え感謝しています。
伏見[ 挿絵のない数学の本なんて考えられないって……。]で、「すうがく博物誌 美しい数学2+3」 森毅 著 安野光雅 画 を思い浮かべる。
中村[ 数学全般の動きというのは、ぼくらみたいなアウトサイダーから見てますと、こんなにまで抽象化しなきゃいけないのかと思うぐらいになって、自分たちだけが喜んでいるような気がしますね。どうして一般の人にもわかるように具象化した形でやらないのか、不思議でしょうがないんですけど。] について、
数の言葉ヒフミヨ(1234)は、平面(二次元・カタチ)からの送りモノとして、具象化できないかを、〇と△と□の相互作用で観ることができよう・・・
『 三文字(i e π)寄れば文殊のヒフミヨ 』 で、
〇は、[π]を外在化させ[i]を内在化させていると観たい・・・
△は、具象化した1・2・3・4次元の数(数体)を実数直線に溶けかませている・・・
□は、1・2・3・4次元の数(数体)を計算できるように[i][e]を内在させている[1]を獲得すると観たい・・・
「すうがくでせかいをみるの」の跡付け的な眺望であるが、〇と□の言葉の点線面と数の言葉ヒフミヨ(ひ、ふ、み、よ、い、む、な、や、こ、と、)との[分化・融合]を、人(私たち)の身体性の無意識化とする≪…美のたくらみ、人のたくみ…≫に・・・
『ヒフミヨ矩形』『ヒフミヨ渦巻』『ヒフミヨ放射』『自然比矩形』
ヒフミヨの具象化おもしろいですね!
〇△□を使って、数字を具象化するのは、まさにこの本の考え方と同じものなのだろうなと思います。
同時に、一般の人(ぼく含め)に向けるにはまだまだ難しいなあとも。
もし、もっともっとわかりやすく、それこそ中高生に数学と形、時、音楽などの繋がりが伝えられれば、もっと数学への興味やおもしろさの理解が広がるのだろうなあと。
完全に理解できていず、大枠の考え方しか理解できていなくても、こんなにも興味深くおもしろいのですから。
≪…〇△□を使って、数字を具象化…≫は、[セフィロートマンダラ]・[両界曼荼羅]に・・・
絵は、「数学的なヴィジョン」や、[数のヴィジョン]とか・・・
数の言葉の世界は、[コンコン物語]になるとか・・・
コメントありがとうございます!
セフィロートマンダラに、両界曼荼羅、数学的なヴィジョンなど、どれも初めて聞くものでした。
調べてみると、見たことがあるものもあり、驚きました。
数字・絵・概念・言葉、これまではそれぞれ別のものだと思っていたものが、それぞれを変換する中で新しいものが生まれていくおもしろさ。
きっと、より深くそれぞれを知れば、さらに深まる世界があるのでしょうね。
同時に、その宗教的な具象化や、絵画という変換の中に、コンコン物語という昔話が入っていることに、なんだかほっとする部分もあったりしますw
これらはきっと気付かず人生を終える人も多いだろうから、それらに出会うきっかけを与えてくれる、コメント(これまでのものも含めて)はとてもありがたく思います。
あと、コメントの中身自体とは関係ないのですが、岡潔数学体験館、すごくおもしろそうですね!
和歌山は遠いので気軽には行けませんが、近くに行く機会があったらぜひ行ってみたいスポットの一つになりました。