お元気様です!
登る保育士ホイクライマーです。
今回は、ぼくが絵本の読み聞かせをする時に、意識しているコツをお伝えしていきます。
もちろん、絵本によって、読み手によって、ぴったりの読み方は違います。
ですが、どの絵本にも当てはまる基本もあります。
この記事では、その基本の部分を詳しく解説しているので、
- 自分の読み聞かせをステップアップしたい。
- 保育士は、どんなことを意識して読んでいるんだろう?
- 絵本を読むのに、基本ってあるの?
そんな方には、参考になると思います。
反対に、読み聞かせ自体が苦手・好きじゃないという方は、前回の記事『読み聞かせが辛い人へ』を先に読んでいただいた方がいいかもしれません。
それでは、見ていきましょう!
出来る限り姿勢は自由に
最初に、読み聞かせをする環境についてお話します。
ぼくは、基本的にどんな姿勢で見ていても、危険がない限りは注意をしません。
座っても、寝転んでも、立っていても、他のことをしていてもいいと思っています。
なぜなら、絵本を見ていて本当に心が動く時は、自然体な時だからです。
「ちゃんと座りなさい」と、言われている時ではありません。
みなさんも経験があるのではないでしょうか?
全然違うことをしていた子が、絵本のフレーズを聞いて急に見始めたり、
リラックスして見ていた子が、急に身を乗り出して見始めることが。
それは心が動いた証拠です。
そう、ちゃんとさせなくても、心が動けば自分から絵本の世界に入ってくるのです。
なんならぼくは、そうなった時ほど「よっしゃ!」と思います。
だって、子どもに「おもしろそう」と思わせた訳ですから。
最初から最後まで、全部ちゃんと見せる必要はありません。
絵本の中のほんの一部でも、心が動く部分があれば、「おもしろかった!」という素敵な絵本体験になるのです。
もちろん、立ち歩いている、他の子にちょっかいを出しているなど、危険がありそうな時は止めます。
ただ、そうなる前に絵本の世界に引き込めるのがベストです。
おしゃべりも禁止しない
姿勢と同様に、基本的におしゃべりも自由です。
絵本を見て、その内容を友だちと話すのは、とても素敵な心の共有だと思いませんか?
それなのに、読みやすさや聞きやすさのために、おしゃべりを禁止してしまうのはもったいないのです。
トロルを見て、「こわいね~」と身を寄せ合ったり、
うんちを見て、「うわ~うんちだ!」「汚いね~」と笑いあったり。
それらは、誰かと一緒に見る読み聞かせだからこその、大切な体験です。
そこを「静かに見る!」「おしゃべりしない!」と禁止してしまうのは、読み聞かせの面白さを半減させてしまうでしょう。
また、友だち同士だけでなく、読み手との対話や、お話をより深く楽しむ機会にも繋がります。
「これってどういうこと?」という疑問が出たり、
「あっ!あそこにいるよ!」と、読み手も気付いていなかった要素に気付くこともしばしば。
「どういうことなんだろうね?」とページをめくる前に、みんなで考える機会になったり、
「ほんとだ!こんなところまで来ちゃったのかな?」と、みんなもその要素に気付くきっかけになるのです。
多少のおしゃべりで集中出来ないほど、子どもの集中力はやわではありません。
読む側が神経質にならないようにしたいところです。
ただ、絵本とはまったく関係ないおしゃべりで、他の人が聞きにくそうな場合などは注意します。
「ここでは絵本読んでるから、そのお話は向こうでしてきて」といった感じで。
読み手が注意する時は世界観が壊れないように
とはいえ、読み手は基本的に注意しない方が好ましいです。
なぜなら、注意すると一気に現実世界へ引き戻されてしまうから。
物語も止まってしまいます。
また、読み手ではない人からの注意も極力ない方がいいでしょう。
注意された子はもちろんのこと、その周りにいる子まで、物語の世界から引き戻してしまうかもしれないからです。
でも、伝えないといけないこともあるでしょう。
そんな時におススメなのは、物語の世界の中で伝える方法です。
例えば、場所取りなどでケンカを始めた時。
鬼の絵本を読んでいたら、「元気でうまそうな子どもの声がするな・・・、ここか!?」と迫ってみる。
魔法使いの絵本なら、「ケンカしてるみたいだから、魔法をかけてげましょう」
など、世界観を壊さず伝えることも出来るのです。
子どもの意識を、物語に向ける効果もあり、一石二鳥。
少し難しい技術ではありますが、絵本の時間がより楽しいものになるので、ぜひ試してみてください。
絵本の位置は固定する
ここからは、技術的な部分について見ていきましょう。
まずは絵本の位置からです。
ある程度の人数に読み聞かせをする時は、適度な高さが大切です。
低すぎると後ろの子が見えず、高すぎると首が疲れるしページが見えにくくなります。
また、意識から外れやすいのが視野角です。
列の左右端の子が、絵本をほぼ真横から見ている状態になっていることがちらほらあります。
子どもとの距離を調整して、視野角にも気をつけましょう。
丁度いい位置を決めたら、そこで絵本を固定します。
基本的に、絵本は最後まで定位置から動かしません
なぜなら、画面が揺れると見にくいからです。
常に振動しているテレビを思い浮かべてみるとわかりやすいでしょう。
絶対見にくいですよね。
固定の仕方はやりやすい方法で大丈夫です。
ぼくは、脇をしめて、絵本の下側の中心辺りを持って読んでいます。
高さは椅子で調整するといいでしょう。
真正面を向かず、斜めに座った方が読み手の体制が楽です。
固定し続けるのって、結構大変だったりするので、一番楽な態勢を見つけておきましょう。
必要があれば導入の話をする
位置が決まったら、いよいよ読み始めます。
この時、導入をしておいた方が楽しめる絵本もあります。
それが、前提の知識を知らないと、楽しさが半減してしまう絵本です。
例えば『そのつもり』。
この絵本は「つもりになって想像する」のが楽しい絵本です。
でも「つもりになる」という意味がわからないと、物語の面白さがかなり伝わりにくくなってしまいます。
そこで、最初に「この部屋がジャングルになったら」など、「つもりになる」感覚がわかるように導入をします。
すると、「そのつもり」になる動物たちの心情が理解しやすくなり、物語の面白さが伝わりやすくなるのです。
もちろん、絵本の中で説明されていれば、導入は必要ありません。
ただ、導入をすることで、少し対象年齢が高めの絵本でも楽しめたりするので、必要に応じて使ってあげると、絵本の世界がより広がります。
注意点は、ネタバレ、ダメゼッタイ!
基本的に声色を変えて読む
次は文章の読み方です。
これには「感情を込めて読む」「想像力を邪魔しないために、感情は込めずに読む」など諸説あります。
その中で、ぼくは感情を込めて読みます。
理由はわかりやすいのと、盛り上がるからです。
鬼は思いきり怖く、泣いているキャラは思いきり悲しそうに。
音も同じです。
不気味なドアは思いきり不気味に「ギィ~・・・」、鬼の足は「ずしん!」と地響きが聞こえるように。
これは小さな子に読む時ほど、意識しています。
想像力でキャラクター像や、その場面の感情を補うのは、相当高度な技術です。
それこそ、たくさんの経験や物語に触れてきたから、出来るようになることでしょう。
なので、まずはその想像力の元になるキャラクターたちを、読み手が演じることが大切だと思っています。
同時に、臨場感が生まれることで、子どもたちをより絵本の世界に巻き込みやすくなるのもポイントです。
子どもたちの「おもしろそう!」を刺激し、絵本に興味を持つことで、絵本を見る機会が増える。
絵本を見るから想像力が育っていく。
絵本の幅が広がっていく。
感情を込めて読むことで、そんなポジティブループを作りやすいと思っています。
ページめくりを大切に
これめちゃめちゃ大切です!
意識している人が少ないのが、とてももったいないポイントでもあります。
絵本のページめくりは、動画に例えると画面の切り替わりです。
「ドアの向こうに何かいる」という場面を思い浮かべてください。
1、ドキドキする時間もなく、普通にドアが開く。
2、少しずつドアに近づいていき、一気にドアが開く。
どちらの方が、おもしろいと思うでしょうか?
おそらく2番目の方でしょう。
これを絵本ではページめくりで表現します。
ドアに近づいていくのであれば、少し時間を置いてからめくる。
「バタン!」と開くのなら、一気に素早く!
「ギィ~・・・」と不気味に開くならゆっくりと・・・。
その場面に合わせて、どれくらい溜めるのか、どんなめくり方をするのか考えてめくってみましょう。
それだけで、絵本のおもしろさは大きく変わることでしょう。
裏表紙まで見せてから終わる
絵本は最後のページを読んだ後、本を閉じた後の裏表紙まで、しっかり見せてから終わりましょう。
そこには絵本それぞれの工夫がたくさんあるからです。
『はじめてのおつかい』などが代表的。
赤ちゃんのミルクを一人で買いに行ったお姉ちゃんは、途中で転び、ひざをすりむいてしまいます。
それでも、買い物を終え、帰ってきたところで物語は終わります。
ですが、裏表紙を見ると、お母さんにひざを消毒してもらい、買って来たミルクを赤ちゃんが飲んでいる姿が描かれているのです。
こんな風に後日談が描かれていたり、面白いオチがついていたりと、仕掛けが満載の裏表紙。
これを見せずして、絵本は完結しないのです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、ぼくが絵本を読む時に、意識しているポイントをお伝えしていきました。
色々と書いてきましたが、大切なことはたった一つです。
それは、
子どもをどれだけ絵本の世界に引き込めるか?
外から見て、どんなにちゃんとしていなくても、セオリー通りじゃなくても構いません。
ここで書いたことをしなくても構いません。
ただ一つの正解は、子どもが絵本の世界に入り込み楽しんでいることです。
反対に、その目線がなければ、どんなに「きちんとした」読み聞かせをしたところで、空虚なものになってしまうでしょう。
この記事が、みなさんと子どもたちに、無限に広がる素敵な絵本の世界をより楽しむための、道しるべとなってくれれば嬉しく思います。
最後まで見ていただき、ありがとうございました!
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