作:林木林 絵:大竹悦子
言葉を繋げるしりとり。
上から読んでも下から読んでも、同じ言葉である回文。
その二つがくっついちゃいました!
あらすじ
しりとりで、どんどん出てくる言葉。
その言葉には回文までくっついています。
さかさしりとりし さかさ(逆さしりとりをしている鳥が、逆さになっている)
リス ミシンし ミスり(リスがミシンをしているが、失敗した)
スイカです でかいス(スイカが大きいです)
カニ かく かにか(カニの絵を描いているカニなのか)
にんにく ろくにんに(ニンニクが六人なった)
クマ うたうよ うた うまく(クマが歌をうまく歌う)
マイク おく いま(マイクを切る株の上に、今置いている)
まだまだまだまだ、しりとり回文は続く・・・。
『さかさしりとり』の素敵なところ
- しりとりと回文の欲張りセット
- 独特過ぎる絵と世界観が癖になる
- ストーリー性のある登場人物
子どもの大好きなしりとり。
子どもの興味を惹きつける回文。
その両方がセットになってしまいました。
これは面白がらないはずがありません。
少し構造が複雑ですが、だからこそその意味が分かった時には、面白さが爆発します。
特に、たまに出てくる、長文の回文。
「イカ 鯛からか 水族館 描くぞ 椅子から 描いた 貝」
などは、回文として、反対から読むだけでも一苦労。
でも、本当に回文になっていることがわかると、
「本当だ!同じになってる!」
と、大盛り上がり。
言葉遊びと文章作りの面白さが、存分に感じられます。
さらに、その文章を表現する絵の、癖の強さも面白いところです。
頭にニンニクをつけたニンニク家族や、太鼓人間、ツバキ柄が派手なヒョウなど・・・。
絵のタッチも、世界観もとにかく濃ゆい。
でも、その濃ゆさが癖になってしまうのです。
その世界観にさらに惹き込んでくるのが、登場するキャラクターたちのストーリー。
「和太鼓の男の子が、ちくわ大食い大会に出ているのを見て、恋する大太鼓の女の子。
和太鼓の男の子は、一位を取りましたが、お腹がいっぱいで苦しい様子。
でも、川に落ちたカケスを助けてくれています。
その間に、大太鼓の女の子は占い師に弟子入りし、占いを学んでいます。
そして、その後のページで、いつの間にかいい雰囲気になっているのでした。」
と、いうように、言葉では語られませんが、そのキャラクターを追っていくと、物語が想像できる作りになっているのです。
これがほとんどのキャラクターに用意されているのが素敵なところ。
これに気付くと、一人のキャラクターを追って、何度も読み直してしまいます。
さらに、そのキャラクターと繋がりのあるキャラクターも出てくるからもう大変。
そっちのキャラクターも追っていくと、次のキャラクターが・・・と、繋がってしまって止まりません。
気付けば、この世界にどっぷりと浸かってしまっているのです。
しりとりと回文という、子どもの大好きな言葉遊びがいっぺんに楽しめる。
と思っていたら、言葉遊びそっちのけで、キャラクターの物語を追うのに忙しくなってしまう、言葉遊び絵本です。
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