さかさしりとり(5歳~)

絵本

作:林木林 絵:大竹悦子

言葉を繋げるしりとり。

上から読んでも下から読んでも、同じ言葉である回文。

その二つがくっついちゃいました!

あらすじ

しりとりで、どんどん出てくる言葉。

その言葉には回文までくっついています。

さかさしりとし さかさ(逆さしりとりをしている鳥が、逆さになっている)

 ミシンし ミスり(リスがミシンをしているが、失敗した)

です でかいス(スイカが大きいです)

 かく かにか(カニの絵を描いているカニなのか)

んに ろくにんに(ニンニクが六人なった)

 うたうよ うた うまく(クマが歌をうまく歌う)

 おく いま(マイクを切る株の上に、今置いている)

まだまだまだまだ、しりとり回文は続く・・・。

『さかさしりとり』の素敵なところ

  • しりとりと回文の欲張りセット
  • 独特過ぎる絵と世界観が癖になる
  • ストーリー性のある登場人物

子どもの大好きなしりとり。

子どもの興味を惹きつける回文。

その両方がセットになってしまいました。

これは面白がらないはずがありません。

少し構造が複雑ですが、だからこそその意味が分かった時には、面白さが爆発します。

特に、たまに出てくる、長文の回文。

「イカ 鯛からか 水族館 描くぞ 椅子から 描いた 貝」

などは、回文として、反対から読むだけでも一苦労。

でも、本当に回文になっていることがわかると、

「本当だ!同じになってる!」

と、大盛り上がり。

言葉遊びと文章作りの面白さが、存分に感じられます。

さらに、その文章を表現する絵の、癖の強さも面白いところです。

頭にニンニクをつけたニンニク家族や、太鼓人間、ツバキ柄が派手なヒョウなど・・・。

絵のタッチも、世界観もとにかく濃ゆい。

でも、その濃ゆさが癖になってしまうのです。

その世界観にさらに惹き込んでくるのが、登場するキャラクターたちのストーリー。

「和太鼓の男の子が、ちくわ大食い大会に出ているのを見て、恋する大太鼓の女の子。

和太鼓の男の子は、一位を取りましたが、お腹がいっぱいで苦しい様子。

でも、川に落ちたカケスを助けてくれています。

その間に、大太鼓の女の子は占い師に弟子入りし、占いを学んでいます。

そして、その後のページで、いつの間にかいい雰囲気になっているのでした。」

と、いうように、言葉では語られませんが、そのキャラクターを追っていくと、物語が想像できる作りになっているのです。

これがほとんどのキャラクターに用意されているのが素敵なところ。

これに気付くと、一人のキャラクターを追って、何度も読み直してしまいます。

さらに、そのキャラクターと繋がりのあるキャラクターも出てくるからもう大変。

そっちのキャラクターも追っていくと、次のキャラクターが・・・と、繋がってしまって止まりません。

気付けば、この世界にどっぷりと浸かってしまっているのです。

しりとりと回文という、子どもの大好きな言葉遊びがいっぺんに楽しめる。

と思っていたら、言葉遊びそっちのけで、キャラクターの物語を追うのに忙しくなってしまう、言葉遊び絵本です。

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