だいぶつさまのうんどうかい(4歳~)

絵本

文:苅田澄子 絵:中川学 出版:アリス館

何百年も不動で座り続ける大仏様。

なんと、運動会に参加することになりました。

大仏様が走る、食べる、組体操をする・・・。

ここでしか見られない世にも珍しい絵本です。

あらすじ

今日は仏様たちの運動会。

阿弥陀如来に弥勒菩薩、不動明王、千手観音・・・。

大勢の仏様が集まってきました。

大きな大きな大仏様は初参加です。

双子の仁王様の呼びかけで、準備運動が始まりました。

運動不足の大仏様は大変そうです。

準備体操が終わると、いよいよ競技が始まります。

最初は玉入れ。

手のたくさんある千手観音がすごい勢いで玉を入れます。

対して、大仏様は太い指では小さな玉を上手くつかめません。

玉入れは負けてしまいました。

次はまんじゅう食い競争。

狛犬が軽やかにまんじゅうを咥えます。

大仏様も頑張りますが、大きな鼻が邪魔でまんじゅうに届きませんでした。

その後は、ザ・七福神バンドの音楽で、仏ダンスです。

ノリノリで踊る大仏様でしたが、踊るたびに地面が揺れるのでみんな大変。

さらに障害物競争でも、大仏様は一つも越えられませんでした・・・。

大仏様が輝ける種目はあるのでしょうか・・・。

『だいぶつさまのうんどうかい』の素敵なところ

  • バリバリ動く大仏様
  • リアルな造形で運動会をする色々な仏様たち
  • ありがた過ぎる最後の場面

この絵本の見どころは、なんと言ってもバリバリ動く大仏様。

座っている所しか見たことのない大仏様が、屈伸したり、走ったり、踊ったり。

新たな一面を見せてくれます。

さらに、大仏様ならではのボケも忘れません。

座りっぱなしネタや、大きすぎるネタの宝庫。

本物の大仏様を見たことがある人なら、ニヤリとしてしまいます。

特に大きさは、ページをいっぱいに使って表現されているので大迫力。

大仏様を知らない子どもでも、その圧倒的な大きさは伝わると思います。

そんな大仏様含め、仏様の造形がとにかくリアルなのもこの絵本の素敵なところ。

ありがたい表情や、指の形、不動明王の背後で燃える炎など、仏像がそのまま動き出したようなリアルさなのです。

造形はリアルなのに、動きは普通の運動会というギャップが面白い。

ありがたい仏様が、ストレッチしていたり、本気で走ったり、転んだり、日傘をさして応援していたりします。

さらに、超能力などは使いません。

千手観音がたくさんの手で玉入れをしたりはしますが、皆、己の肉体のみでちゃんと運動会をするのです。

この普通さが、この絵本のなにより面白いところだと思います。

もちろん仏様を知らない子も楽しめます。

「手がいっぱいあるね」

「カラス天狗みたい」

「怒った顔してるよ」

など、馴染みのない仏様に興味津々。

それぞれの仏様の名前も載っているので、自分で調べることも出来てしまいます。

さて、そんな運動会の最後の種目。

全ての参加者で力を合わせます。

その見開き一ページのありがたいこと。

開いた瞬間に、極楽浄土の来てしまったかのようです。

たくさんの仏様が一堂に会しポーズをとる神々しさ。

さっきまで汗をかいて運動していたのが嘘のよう。

この神々しさの後、風呂に入りに行く庶民感も面白いところなのですが。

ありがたい仏様たちが、普通に運動会をするというギャップ。

リアル過ぎる造形により、このギャップが最大限に活かされたありがたい絵本です。

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