もじもじこぶくん(4歳~)

絵本

文:小野寺悦子 絵:きくちちき 出版:福音館書店

恥ずかしがり屋で、もじもじしてしまう子。

こぶくんは、そんな子たちに寄り添ってくれます。

そして、勇気の出し方も伝えてくれるのです。

あらすじ

子ブタのこぶくんはとっても恥ずかしがり屋です。

そんなこぶくんが、アイス屋さんにアイスを買いに来ました。

でも、アイス屋に行くと恥ずかしくなって、声が出なくなりもじもじ。

アイス屋さんが声をかけてくれますが、やっぱりもじもじ。

すると、サイ奥さんが先にアイスを買いました。

さらにワニ兄さんも買っていき、他のお客さんも次から次へとアイスを買っていきました。

これでは売り切れてしまいます。

それでももじもじしているこぶくんの耳に、

「いちご味のくださーい」

という、小さな声が聞こえてきました。

よく見ると、ありのありいちゃんが、声を張り上げていたのです。

でも、アイス屋さんには聞こえていません。

こぶくんに気付いたありいちゃんは、「全然気が付いてもらえない」と話すと、泣き出してしまいました。

それを聞いたこぶくんは・・・。

『もじもじこぶくん』の素敵なところ

  • 恥ずかしがり屋の気持ちを代弁してくれるこぶくん
  • 自分も勇気を出してみようと励まされる
  • とてもポジティブなこぶくん

こぶくんはとても恥ずかしがり屋です。

アイス屋さんが話しかけてくれても、中々言葉が出てきません。

そのもじもじする姿は、自分の姿と重なります。

いつももじもじしてしまう子。

たまにもじもじしてしまう子。

色々な子がいますが、どの子も、

「私も発表会だともじもじしちゃう」

「新しいところ行くともじもじしちゃう」

など、自分がもじもじしてしまう場面を思い出し、こぶくんの姿を見守っていました。

そんなこぶくんが勇気を振り絞ります。

その姿は、見ているみんなにも勇気をくれます。

堂々としたこぶくん。

みんなが嬉しい結果。

こぶくんを通して、自分も勇気を出したような誇らしい気持ちが湧いてきます。

こぶくんの姿を見たら、他の子が困っている場面で、勇気が湧いてくるかもしれません。

さて、この物語の最後の場面。

そこでのこぶくんの一言がとても印象的でした。

どんどん順番を抜かされたこぶくん。

こぶくんがアイスを買った時に言った一言が、とてもポジティブだったのです。

恥ずかしがり屋だけれど、悲観的にならない明るさが、こぶくんの大きな魅力なのだなと思いました。

だからこそ、お話自体がとてもポジティブで、明るいものになっているのだろうなと感じます。

恥ずかしがり屋なこぶくんが頑張ることを通して、子どもたちに勇気と優しさを伝えてくれる。

きっと恥ずかしがり屋の子の、背中をそっと押してくれる絵本です。

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