やきざかなののろい(4歳~)

絵本

作:塚本やすし 出版:ポプラ社

焼き魚を食べないと、呪われるって知っていますか?

「食べてくれ~」と追ってくる焼き魚。

それでも食べない男の子。

そのやり取りが面白い絵本です。

あらすじ

ぼくは焼き魚が嫌いです。

骨があって食べにくいし、苦いからです。

ある日、夕飯の焼き魚を突っついて、食べているふりをしました。

それを見てお母さんは、「もっとちゃんと食べなさい」と怒ります。

お風呂に入っていると、食べ散らかして、骨だけになった焼き魚がお風呂に入ってきました。

「嫌わないでくれ~、ちゃんと、食べてくれ~」と言ってきます。

びっくりです。

寝ていると、焼き魚も布団に入り、朝ごはんを食べていると「食べてくれ~」と言ってきます。

いい加減にぼくは怒りました。

「ぼくは焼き魚が大っ嫌いなんだ!」と。

それでも、焼き魚は引きさがりません。

そして焼き魚がついに「もう!食べてやるー!」と叫んで、パクッ。

ぼくを食べてしまいました。

ぼくの運命やいかに・・・。

『やきざかなののろい』の素敵なところ

  • 怖いような怖くないような呪い
  • 呪いに屈しない焼き魚嫌いの主張
  • 好きになるためには・・・

この絵本では、食べ散らかした焼き魚が「食べてくれ~」と迫ってきます。

それだけなら怖いのですが、一緒に布団に入って寝るだけの時もあるなど、怖いような可愛いような、不思議な呪いに仕上がっています。

それに、基本的にはしゃべるだけ。

「食べてくれ~」と言い続けるだけなので、あんまり怖くもありません。

そんな愛嬌ある呪いですが、ずーっといい続けられるとまいってしまいます。

でも、男の子が強いのもこの絵本の面白いところ。

言い続けられても、決して食べようとはしないのです。

嫌いなものは嫌い。

「ぼくは焼き魚が大っ嫌いなんだ!」

と、呪いにはっきりと言い返すのだから大したもの。

こんなにも呪いと、バチバチ言い合う絵本は中々見かけません。

さて、両者一歩も譲らない、主張のぶつけ合いの結末は、意外なものでした。

結局、言葉で言い続けても嫌いなものは嫌いです。

でも、それを好きになる時は、「無理やり食べてもらうのではなく、好きが伝染する時なのだな~」と思わせてくれる結末。

これがこの絵本の一番すごくて、素敵なところだと思います。

焼き魚の呪いと男の子の激しいぶつかり合いを見ることで、「食べなさい」から「美味しいよ」に変えていく大切さを感じる絵本です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました