ぼくからみると(5歳~)

絵本

文:高木仁三郎 絵:片山健 出版:のら書店

ある一つの池。

でも、見る視点によって全然違うものに見える。

そんな面白さを、体験できる絵本です。

あらすじ

夏休みのある日。

昼過ぎのひょうたん池・・・。

自転車のしょうちゃんから見ると、

景色が流れ、イヌが前を走り、池のほとりで釣りをしている人が見える。

釣りをしているよしくんからみると、

伸びた釣り竿の先に、トンボがとまっている。目の前に広がる水面が見える。

池の魚から見たら、

糸がついたエサが目の前で揺れている。水草や池の底、他の魚が見える。

かいつぶりのお母さんが見たら、

後ろをついてくる三匹の子どもが見える。

トンビ、カヤネズミ、ミツバチ・・・。

それぞれから見ると。

『ぼくからみると』の素敵なところ

  • 視点が変わると世界が変わる
  • 少しずつ繋がりのある視点
  • 生命力あふれるひょうたん池

この絵本のなによりも面白いところは、色々な視点でひょうたん池を見ることが出来る所でしょう。

その視点も、本当にバリエーション豊か。

人間、小動物、空の上、水の中、虫・・・。

それぞれに全く違う景色を見せてくれます。

そして、色々なことに気付かせてくれます。

「空から見ると、ひょうたんに見える」

「草がこんなに大きく見えるんだ」

「池の中ってこんな感じなんだね」

などなど、普段気にも留めていないことへ、気付くきっかけをくれるのです。

そして、他者の視点を体験することにより、「どう見えているんだろう」という、想像力や興味が膨らむのも素敵なところです。

さて、そんな視点が、少しずつ繋がっているのも面白いところ。

自転車のしょうちゃんから見える、釣りをしているよしくん。

よしくんが垂らした釣り糸のエサを見る、池の魚。

池の魚が見上げている、かいつぶりのお母さん。

かいつぶりのお母さんが見上げている、空を飛ぶトンビ・・・。

と、少しずつ視点が交わり、次の視点に映っていく様はしりとりのよう。

このパズルのような、視点の移り変わりにより、驚くほど自然に視点が移動していくのです。

そんな様々な視点を体験できるこの絵本。

その中で、どんな視点にも共通して感じることがあります。

それがひょうたん池の、自然の生命力です。

生い茂る草木、そこに生きる動物、虫・・・。

そのどれもが、力強い生命力に溢れているのです。

見ているだけで力が湧いてくるような、自分も外に飛び出したくなるような。

そんな力強さに溢れた絵で描かれる世界が、色々な視点で見る魅力をより大きくしてくれているのでしょう。

見ていたら、ひょうたん池へ自分も入り込みたくなってしまうのです。

自然あふれるひょうたん池を、色々な生き物の、様々な視点から見ることが出来る。

視点の高さや、見える景色、たくさんの違いへの気付きが、楽しすぎる絵本です。

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