たまごのはなし(4歳~)

絵本

文:ダイアナ・アストン 絵:シルビア・ロング 訳:千葉茂樹 出版:ほるぷ出版

色も形も模様も様々な卵。

そんな卵の、素敵な秘密が明かされます。

さあ、賢くおしゃれで不思議な、命の世界へ旅立ちましょう!

あらすじ

卵はおとなしい。

親の側や、穴の中で安心だから。

卵は色とりどりで、形も色々。

ウミガメの丸い卵は、200個も産まれるので、隙間なくきっちり積み重なるように。

海鳥の先のとがった卵は、転がっても同じ所でクルクル回り、岩棚から落ちないように。

それぞれ理由がある。

卵は賢い。

外敵から身を守るため、自然の風景に擬態する。

卵は大きさも色々で模様もおしゃれ。

手触りも、固いもの、柔らかいもの、ねばねばしたものなど様々。

卵は命を育む。

卵には卵殻、卵黄、卵白など命を育むための仕掛けが詰っている。

卵はおとなしい。

そして、いきなり・・・。

『たまごのはなし』の素敵なところ

  • 本物そっくりの、見ているだけでうっとりするイラスト
  • 語りかけるようなわかりやすい文章
  • 所狭しと卵が並んだページの仕掛け

この絵本は、表紙からもわかるように、リアルでカラフルで綺麗です。

まるで美術作品を見ているような美しさ。

それが全て、自然界に存在するものだというのだから驚きです。

でも、リアルなだけでなく、タッチがどこか柔らかく、温かみがあるのが素敵なところ。

それが人を惹きつけ、うっとりさせてくれるのでしょう。

ちょうど、図鑑とアートの中間のような雰囲気があるのです。

そして、科学的な絵本には欠かせない説明文ですが、これがびっくりするくらい分かりやすいのも、この絵本の素敵なところです。

専門的な用語なく、普段の会話で使う言葉だけで、少し難しいことも説明してくれます。

特に、卵の中身についてがわかりやすく、

「卵殻は家、卵黄は食べ物で、卵白はゆりかごだ」

というように、とてもわかりやすく、イメージしやすい例えが使われています。

こうして、子どもにも卵の不思議や面白さが、伝わるようになっているのです。

さて、この絵本には最初に見開きいっぱい、所狭しとたくさんの卵が描かれたページがあります。

最初に見た時には「いっぱいある!」「すごい!」と、ただ驚くばかりのページ。

しかし、このページにはある仕掛けがあったのです。

それは、物語の終わりに、全ての卵が孵ること。

あのたくさんあった卵たちが、ひとつ残らず、孵化した後の生き物の姿になっているのです。

これを見比べるのが面白く、

「こんな風になるんだ!?」

「あんなにちっちゃかったのに」

「ペンギンって、こんな卵なんだね」

など、色々な発見があるのです。

もちろん、発見など抜きにしても、自然界のカラフルさが詰ったこのページは、見ているだけでも楽しい気持ちになってきます。

リアルさの中にも、温かさのあるイラストと、わかりやすい説明で、卵の不思議や秘密がわかる。

しっかりと読み込んでも、ただ眺めているだけでも面白い科学絵本です。

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