ほんなんてだいきらい!(4歳~)

絵本

文:バーバラ・ボットナー 絵:マイケル・エンバリー 訳:さんべりつこ 出版:主婦の友社

本が大嫌いな女の子。

そんな子に、絵本の楽しさを伝えたい図書室の先生。

その思いは、一冊の本を通して、伝わることになるのです。

あらすじ

図書室の先生ミス・ブルックリンは、本が大好き。

ミス・ブルックリンは大好きなお話を、お話会の時にしてくれる。

その時は、決まってお話に合わせた格好をしてくる。

ミス・ブルックスは一年中本を読んで聞かせる。

私はそれがうっとうしい。

そして、5月、世にも恐ろしいことが起きた。

それは「読書週間」。

一番好きなお話を選び、クラスで発表するのだ。

どうして、その本が好きかも一緒に。

私は、本は好きにならないと言った。

「読書週間」が嫌で、お母さんに引っ越したいと言ったみたが、どの町にも図書の先生はいるのだと言われた。

「代わりにやって」と、言ってみたが、断られた。

読書週間が始まり、誰かが毎日好きな本を発表した。

ミス・ブルックスは毎日、その日の発表の感想を私に聞いた。

全て否定的に返していると、ミス・ブルックスはリュックにたくさんの本を詰めてきた。

「お母さんと読んで来て」とのことだ。

家で本を見てみたけど、どれも気に入らない。

そんな私を見て、お母さんが言った。

「お前はイボみたいに頑固だね」

それを聞いて、私はピンときた。

「イボの話が読みたい!」と叫んだ。

お母さんは一冊の本を探してきてくれた。

その一冊とは・・・。

『ほんなんてだいきらい!』の素敵なところ

  • 先生と私の温度感が違い過ぎるやり取り
  • 自分にピッタリの一冊がある
  • ピッタリな本との出会いがただの偶然ではない

先生と私の温度感が違い過ぎるやり取り

この絵本の面白いところは、本が大好きで情熱的な先生と、本が大嫌いでクールな女の子という、全然違う二人のやり取りです。

先生はあの手この手で、本の楽しさを子どもたちに伝えようとしてきます。

それに対して、女の子は一歩引き、冷めた目で先生や他の子どもたちを見つめます。

この凸凹感が面白い。

見ている子どもたちは、先生の楽しそうな行動に惹きつけられます。

でも、女の子が水を差し、そのたびに、

「えー、本楽しいのに!」

「一緒にやったらいいのに!」

と、落ち着かされてしまいます。

このアクセルと、ブレーキの繰り返しが、なんともいえないテンポ感を生み出しているのです。

でも、先生は強引ながらも、女の子の気持ちを否定することはありません。

女の子が自分から、本の楽しさに気付いてもらえるような手助けをするのです。

先生のこういった気持ちが、伝わってくるのもこの絵本の素敵なところです。

自分にピッタリの一冊がある

こうして先生と関わる中で、女の子はある一冊の本と出会います。

その本を読んでいる時は、あんなに冷めていた目が、キラキラと輝いています。

王道ではないお話ですが、それゆえに、女の子にはピンと来たのでしょう。

きっと波長が合ったのだと思います。

そんな姿を見ていると、今は本が好きではない子も、自分のピッタリの本がどこかにある気がしてきます。

そして、それを探してみたいという気分にも。

ピッタリな本との出会いがただの偶然ではない

また、その出会いが、ただの偶然ではないのも素敵なところです。

この出会いには、先生とお母さんの存在と協力が欠かせませんでした。

諦めずに、色々な方法で関わり続けた先生。

その関わりの一つ、「大量の本を持たせて帰す」というのが、ピッタリな一冊との出会いに繋がりました。

持って帰った本を、お母さんが一緒に見たり、女の子の言葉をしっかり聞く中で「イボ」という気になるワードが見つかり、それを元にお母さんが見つけてくれたのが、ぴったりな一冊でした。

この出会いは偶然ではなく、身近な人が力を合わせた結果なのだと思います。

二言まとめ

情熱的な先生と、クールな女の子の、なかなか嚙み合わないやりとりが面白い。

読めば、自分にピッタリの一冊を、探しに行きたくなる絵本です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました