ちっちゃな生きものたちアリ(4歳~)

絵本

作:スージー・ウィリアムズ 絵:ハンナ・トルソン 訳:渡邊真里 出版:化学同人

とても身近な生き物アリ。

そんなアリには知られざる秘密がたくさんあります。

可愛い絵とともに、アリの世界を覗いてみましょう。

あらすじ

アリはいくつかのグループに分かれて暮らしている。

小さいグループから、大きいグループまであり、コロニーと呼ばれる。

アリは昆虫の仲間。

だから、頭、胸、お腹の三つに分かれている。

足の先には尖った爪、口には大あご、頭には触角、お尻には針がある。

アリは、土や木の壁の中に家を作る。

アリの家のことを巣と呼ぶ。

たくさんの部屋があり、その部屋をトンネルで繋ぐ。

食べ物を置いておく部屋や、寝る部屋もある。

一つのコロニーには、女王アリ、オスアリ、働きあアリの3種類がいる。

普通、外で見かけるアリは働きアリ。

働きアリはみんなメス。

コロニーのみんなのために、働いている。

巣の外では、土の上に匂いをつけながら歩く。

この匂いを道しるべに自分たちの巣へ帰る。

アリには耳がなく、代わりに足で揺れを感じる。

この揺れが、敵がどこからやってくるのか教えてくれる。

アリには胃袋が二つある。

一つ目は自分の食べ物を貯めておくため。

二つ目は仲間にわけてあげる食べ物を貯めておくため。

アリにはまだまだ秘密がある・・・。

『ちっちゃな生きものたちアリ』の素敵なところ

  • 話し言葉でとても親しみやすい文章
  • デフォルメされた、丸みがあって可愛い絵
  • 難しすぎないけど、マニアックさも忘れないバランス

話し言葉でとても親しみやすい文章

この絵本で、最初に感じるのは、その読みやすさではないでしょうか?

科学絵本とは、思えないほど柔らかな文章。

話し言葉で書かれているので、とても親しみがあり、まるで著者と話しているようです。

一つ一つの説明も、

「働きアリは、コロニーのみんなのために、お仕事をする。食べ物を運んできたり、巣の外にゴミを捨てたりするんだ。」

「アリには好き嫌いがないんだって。果物、野菜、死んだ動物、きのこまで、見つけたエサはなんでも食べるよ。」

といったように、子どもが自然と理解できる言葉で書かれているのも、素敵なところ。

おかげで、文章に邪魔されず、アリの知識がスッと入ってくるのです。

デフォルメされた、丸みがあって可愛い絵

この親しみやすさを、さらに増してくれるのが、とてもかわいらしい絵です。

アリの特徴的なパーツは抑えつつも、どこか子どもが描いたような、丸みのある優しくて可愛い絵で描かれています。

この絵が、親しみやすい文章と、ピッタリ合っているのです。

そのおかげか、科学絵本に起きがちな、少し重たい雰囲気が全くありません。

物語のようにスラスラと、楽しく読めるものになっています。

難しすぎないけど、マニアックさも忘れないバランス

ただ、読みやすいからといって、内容が薄い訳ではありません。

このわかりやすさで、かなりマニアックな知識まで伝えてきます。

コロニーで生活していること、揺れで感知していること、胃袋が二つあること、呼吸の仕方・・・。

子どもはもちろん、読んでいる大人も、

「そうだったんだ!?」

「アリってすごいな~」

と、子どもと一緒に驚き、そのすごさと面白さに夢中になってしまいました。

また、危ないアリの見分け方も書いてあり、実際に興味を持って外でアリを探す時に、気を付けられるようになっているところ。

アリ自身のことだけでなく、アリが自然界の中で果たす役割についても描かれていて、関わり合いながら生きる自然の面白さに、目が向くようになっているのも、とても素敵なところです。

二言まとめ

とてもわかりやすく、親しみある言葉で、アリの深い知識まで伝えてくれる。

読めば、大人も子どもも、アリを探しに行きたくなってしまう絵本です。

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