作:宮部みゆき 絵:吉田尚令 編:東雅夫 出版:岩崎書店
「嫌い」「消してやりたい」
そんな悪い気持ちが湧きあがる時は誰しもあるはずです。
それが子どもでも大人でも。
そんな時に呼びかけてくる本があります。
『悪い本』です。
あらすじ
わたしは悪い本です。
この世の悪いことを一番よく知っています。
いつかあなたは私が欲しくなります。
いつかどこかであなたは誰かを嫌いになります。
何かを嫌いになります。
必ず。
その時あなたはもう一度私のページをめくるでしょう。
そしたらこの世で一番悪いことを教えてあげる。
あなたが一番悪いことを覚えたら・・・。
『悪い本』の素敵なところ
- 心の奥底に響く暗い言葉
- 開きたくないけど、開いてしまう魔力
- 様々な解釈が出来る文章の後ろの絵で展開する物語
「そんなことない」と否定したいけれど、否定しきれない悪い本の言葉。
そんな自分の暗い部分と向き合わせられる言葉。
それは誰しもが無視できず、心に直接響いてきます。
それが開きたくないけれど、つい開いてみてしまうという魔力を生み出しているのだと思います。
この絵本は悪い本が語り掛けてくると言う形で進んでいくのですが、その後ろでは女の子の物語が進んでいきます。
悪い本の言葉に連動するように進んでいく物語。
でも、その物語自体はなにも語られません。
想像に任せられています。
それぞれの悪い本の言葉の受け取り方でその解釈も変わるでしょう。
暗いくらい物語になる子もいれば、少し怖いくらいの子もいる。
見る人によって変わる『悪い本』です。
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