【絵本】おはよう(4歳~)

絵本

作:及川賢治 出版:講談社

ベッドで横向きになると、見える世界も横向きに。

そんな横向きの世界に不思議な生き物がいたので話しかけると・・・

なんと、横向きの世界に入り込んでしまいました。

あらすじ

ある家での夜のこと。

男の子がベッドでお父さんに本を読んでもらっていました。

でも、お父さんは先に寝てしまいました。

男の子はお父さんの方を向いてみました。

すると、目の前にお父さんの大きな顔が広がります。

三角の鼻はいびきをかいています。

男の子は仰向けになり天井を見てみました。

そこにはシミがあり、座ったネコに見えます。

次にうつ伏せになってみました。

四角い枕に顔をつけて息を吸い込んでみます。

今度は、窓の方を向いてみました。

窓もカーテンも星空も全部横向きに見えます。

と、窓辺に三角の何かが座っていることに気付きました。

男の子はベッドから出てみると、世界はなぜか横向きのまま。

横向きの窓辺に座った三角に近づいてみます。

その三角はお父さんの鼻でした。

三角の鼻は立ち上がると、男の子に「やあ、四角」と声をかけてきました。

どういうことかわからずに、男の子が自分の顔を触ってみると、四角い枕から顔が突き抜け、男の子の顔は四角い枕と一体化していました。

三角は、また窓辺に腰かけると、「あとは丸を待つだけだ」と言いました。

男の子にはなんのことだかわかりませんが、一緒に窓辺に座って待ちました。

横向きの窓辺から見える景色は、すべて横向きです。

そうしているうちに、空がだんだんと明るくなってきました。

そこで男の子は丸の正体に気が付きました。

さて、三角の待つ丸とはいったい誰のことなのでしょう?

『おはよう』の素敵なところ

  • 視点によって見える景色が変わるおもしろさ
  • 横向きの世界での不思議すぎる体験
  • 丸の正体がわかったと思いきや・・・

視点によって見える景色が変わるおもしろさ

この絵本のとてもおもしろいところは、ベッドの上から見る様々な視点での景色でしょう。

お父さんの方を向けば、目の間いっぱいに広がるお父さんの顔が見えます。

お父さんも横になっているので、いつも見ているのとあまり変わりません。

上を見ると、天井が広がりシミも見えます。

うつ伏せはきっとなにも見えないことでしょう。

そして、横向きに窓を見ると、そこにはいつもと全然違う世界が広がります。

窓も星空も、部屋の中も全部横向き。

自分はまっすぐの状態で、絵本を通して横向きの世界を見るととても不思議な感覚が味わえます。

支えがないのに、ランプやおもちゃが落ちないという、不思議な感覚。

改めて横向きの世界を見てみると、そこはまるで不思議な力が働く異世界のように見えるからおもしろい。

この、寝転ぶ向きによってまったく違う視点になるおもしろさを、寝転んでいない状態で体験させてくれるのが、この絵本のとても素敵なところです。

寝転んでいる状態だとあまり不思議に感じないのに、寝転んでいない状態でその視点を体験すると、とても不思議でおもしろいと感じられるから不思議ですよね。

横向きの世界での不思議すぎる体験

ですが、ただ横向きの世界を見て終わるだけではないのが、この絵本のとてもおもしろいユニークなところ。

なんと、横向きの世界に直立のまま入ってしまうのです。

不思議な三角を見つけ、ベッドから出る男の子。

ここで、視点が戻るはずが、世界は横向きのままなのです。

横向きの世界に立つ男の子。

このアンバランス感が、この世界の不思議さをものすごく感じさせてくれます。

子どもたちも、

「あれ!?立ったのに横向きのまま!?」

「なんで!?」

「どうなってるの!?」

と、びっくり仰天。

まさかの展開にものすごく驚いていました。

でも、慣れてくるとすっかりこの世界の虜となり、

「あのおもちゃ、どうして落ちないんだろう?」

「星が落ちて流れ星になるかも!」

「こんな世界見てみたいな~」

などなど、その不思議さに魅了され、興味がつきないようでした。

でも、横向きになっただけでは、この絵本の不思議な体験は終わりません。

だって、三角のお父さんの鼻が出てきて、しゃべり始めるのですから。

さらには、顔と枕が合体し、自分が四角になってしまい、丸を待つという謎過ぎる展開に。

いったい何が起こっているのかはわかりませんが、丸がなんなのかはとにかく気になります。

この、すべてが謎に包まれた不思議すぎる世界観と、そこでの不思議すぎる体験も、この絵本のとてもおもしろいところです。

ぜひ、この絵本でしか味わえない、不思議でシュールな世界を味わってみてください。

丸の正体がわかったと思いきや・・・

さて、こうして三角と四角は丸を待つことになるのですが、その正体はわかりません。

しかもなかなかやってきません。

そうしているうちに、空が白み、夜明けが近づいてきたところで、男の子は気付きました。

丸の正体に。

その予想に子どもたちも共鳴。

「丸ってそれのことだったのか!」

「確かに丸いもんね!」

と、大いに納得していました・・・が、実は違います。

この、99%確信している状態からのダークホースが出てくるところも、この絵本の最後まで予想を裏切ってくるおもしろいところです。

子どもたちも思わず、「そっちかーい!」とツッコんでいました。

予想外すぎるけれど、ものすごく納得もできる絶妙な丸の正体を、確かめてみてくださいね。

きっと、「そっちかーい!」とついツッコミを入れてしまうと思いますよ。

二言まとめ

横向きの世界でお父さんの鼻と出会い、自分は四角になってしまうという不思議すぎる体験がおもしろい。

最初から最後まで、驚きの展開しか存在しない、予測不可能なおはよう絵本です。

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