【絵本】ゆきがやんだら(4歳~)

絵本

作:酒井駒子 出版:学研出版

朝起きたら、窓の外は真っ白な雪。

でも、降っているうちは外で遊べません。

早く雪がやまないかな・・・。

雪遊びへの待ち遠しさと、雪の静けさが詰まった絵本です。

あらすじ

ある朝、子どものウサギが起きると、ママにまだ寝ていていいと言われました。

窓の外を見ると、すごい雪。

園バスが動けなくなったので、今日は園が休みになったのです。

ウサギの子は、さっそく外へ雪遊びをしに行こうとしました。

けれど、ママに風邪をひいてしまうからと、止められてしまいました。

「雪遊びは雪がやんだあとで」と。

でも、ウサギの子はママがお皿を洗っている間に、こっそりベランダでお団子を一つだけ作っていました。

お昼を食べても、おやつになっても雪はやみません。

パパは今日、遠くの仕事から帰ってくるはずだったけど、雪で飛行機が飛ばなくなり帰ってこれないらしい。

ママと一緒にベランダに行くと、外は寒くて静か。

世界にママとウサギの子しかいないみたいだった。

夜になり、晩御飯を食べて歯磨きをしていると、雪がやんでいることに気付いた。

さっそくママに教え、雪遊びに行きたいと言った。

でも、もう寝る時間。

ママはウサギの子になんと返すのでしょうか?

『ゆきがやんだら』の素敵なところ

  • 雪遊びをしたくてウズウズする気持ちがよくわかる
  • 雪ならではの静けさがそのまま絵本の中にある
  • とても嬉しく特別な結末

雪遊びをしたくてウズウズする気持ちがよくわかる

この絵本のなにより素敵なところは、雪の日ならではの、様々な気持ちが味わえることでしょう。

雪が降った時の、特別な嬉しさや、園が休みになったり、いつもしていることができなくなったり、雪遊びをしたり・・・。

雪の日だからこその、様々なできごとが起こります。

その中でも、この絵本から強く伝わってくる気持ちは、雪遊びのために外に出たいウズウズ感。

窓の外では雪がたくさん降っていて、すぐにでも雪遊びが出来そうなのに、降っている間は「風邪をひいてしまうから」と出ることができないジレンマ。

きっと子どもにとっては、あるあるな出来事なのではないでしょうか。

雪が降って嬉しいけれど、「早く雪がやまないかな~」と待っているあの感じ。

それが、ウサギの子の姿を通して、とてもリアルに描かれているのです。

ことあるごとに、窓の外を確認したり、

こっそりベランダに出て雪を触ってみたり。

きっと、描かれていないけれど、ママに「そろそろやむかな?」と何度も聞いていたりもすることでしょう。

そんな、雪遊びをしたくてウズウズした気持ちが伝わり、本当に外で雪が降っている気分を味わえるのが、この絵本のとても素敵なところです。

この絵本を見たら、雪の日のことを思い出し、自分も雪が待ち遠しくなること間違いなしです。

雪が降った日に読むのも、ウサギの子とより心がリンクして素敵かもしれません。

雪ならではの静けさがそのまま絵本の中にある

こんな風に、雪が降った日の、子どもの気持ちがリアルに描かれているこの絵本ですが、リアルなのはそれだけではありません。

雪の降る情景も、本物そっくりに描き出されています。

特に、それを強く感じるのが、雪の日特有の静けさ。

雨と違い、雪の日はどんなに強く降っていても、すべての音を消してしまうような静けさを感じると思います。

あの静けさが、見事に表現されているのです。

しんしんと雪が降り、どんどん世界は真っ白になっていくのに、まるで時が止まったかのような音のない世界。

人通りも、車の通りも少なく、いつも見ている景色のはずなのに、異次元へ迷い込んでしまったかのような不思議な違和感。

そんな雪の日ならではの感覚を、この絵本からは味わえます。

それが、特に強く感じられるのが、ウサギの子がママとベランダに出て言う、

「ぼくとママしかいないみたい、世界で。」

というセリフ。

雪の日に感じる不思議で特別な感覚を言い表す、本当に素敵な一言だと思います。

雪遊びをしたいウズウズ感とともに、絵と言葉と空気感のすべてを使い雪の持つ静けさまで見事に描き出すことで、本当に外で雪が降っている感覚を味わえるのも、この絵本のとても素敵なところです。

とても嬉しく特別な結末

さて、このなかなかやまない雪は、結局夜の寝る直前まで降り続きます。

そして、パジャマに着替え、歯磨きをする時間になってようやくやむのです。

本来なら「また明日」となるところですが、子どもにはそうではありません。

だって「雪がやんだら雪遊びをしに行っていい」と言われているのですから。

きっと、普通の日なら「また明日ね」と言われることでしょう。

でも、この日はとても特別な日。

素敵な結末が待っていました。

その最後の光景に、ウサギの子も見ている子どもたちも、心がスッと解放されるであろう、とても素敵な結末。

この雪という特別な日だからの、特別な結末も、この絵本のとても素敵で雪の冷たさと対照的に、心を温めてくれるところです。

こういう特別が、きっと子どもの素敵な思い出になり、心を豊かにしてくれるのでしょうね。

二言まとめ

ウサギの子の姿を通して、雪遊びをしたくてウズウズする気持ちや、雪が降る静けさなど、雪の日の1日がとてもリアルに描き出されている。

本当に外で雪が降っている感覚を味わえて、とても雪が待ち遠しくなる絵本です。

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