作:イヌイマサノリ 出版:ひさかたチャイルド
ゾウがピンクの丘に立っています。
・・・と、思ったら、そこはブタの背中の上。
ゾウを乗せたブタは、黄色い砂場で遊んでいると思ったら・・・。
あらすじ
ゾウがピンクの丘に立っています。
・・・と思ったら、そこはブタの背中でした。
ゾウを乗せたブタが砂場で遊んでいます。
・・・と思ったら、ラクダの背中でした。
ゾウとブタを乗せたラクダが、木の下で休んでいます。
・・・と思ったら、シカの頭の上でした。
ゾウとブタとラクダを乗せたシカが、山の上を歩いています。
・・・と思ったら、ワニの背中の上でした。
ゾウとブタとラクダとシカを乗せたワニが、池の上に座っています。
・・・と思ったら、クジラの背中の上でした。
・・・と、その時!
『どこにいるの?』の素敵なところ
- 動物たちのいるまさか過ぎる場所にびっくり
- 大きさがよくわからなくなる不思議なおもしろさ
- みんなで慌てる楽しい結末
動物たちのいるまさか過ぎる場所にびっくり
この絵本のなによりおもしろいところは、動物たちが乗っている場所でしょう。
なんの変哲もない、丘や森にいるのかと思いきや、なんとそこは巨大な動物の背中や頭の上。
ぬっと出てくる、巨大な動物たちに、
「ええ!?」
「ブーブーだったね!」
「ブタさんに乗ってる!」
と、子どもたちもびっくりです。
しかも、その動物も違う動物に乗っているのだからさらにびっくり。
でも、ページが進み、絵本の構造がだんだんわかってくると、次はなんの動物に乗っているのか予想をするようになっていきます。
黄色を見て「ネコさんかな?」。
青を見て「おさかなさん?」
など、色と形から次の動物を予想するのもおもしろい。
この、動物が動物の上にいるという予想外すぎる驚きが、この絵本のとてもおもしろく盛り上がるところです。
大きさがよくわからなくなる不思議なおもしろさ
こうして、動物の上にどんどん動物が乗っていくこの絵本。
ここでもう一つおもしろいところが、動物の大きさです。
なんと、どんどん上に乗っていくからと言って、小さい動物が上になるわけではありません。
なんなら、一番最初から、ほぼ一番大きいと思われるゾウが出てきて、ブタに乗るのですから。
すると、不思議な現象が起こります。
ゾウの方がブタより小さくなるのです。
さらに、ラクダはシカと同じくらいのはずなのに、シカの頭に収まってしまうミニチュアサイズに。
こんな風に、他の動物を乗せるほど大きいと思っていた動物が、相対的に小さく小さくなっていくのがおもしろい。
絵本中盤あたりから、一番上にいるゾウは、豆粒ほどになり目を凝らしても見えないほど小さくなってしまいます。
この、本来の大きさとはまったく違う、ページが進むごとにどんどん小さく見えてくる不思議さも、この絵本のあっと驚く、とてもおもしろいところです。
みんなで慌てる楽しい結末
さて、そんな繰り返しも、クジラの上で終わります。
クジラがいるのは正真正銘、水の中。
でも、そこで大変なことが起こります。
だって、クジラの背中の上にいるということは・・・。
これはもうお約束。
そして、お約束だからおもしろい。
この最後のお約束な展開に、子どもたちは、
「わぁ~~~!」
「大変だー!」
「みんな飛んでっちゃった!」
と、慌てながらも大笑いです。
この、驚かされつつも安定した繰り返しの後に、楽しいこと間違いなしなクジラのお約束で、思いきり盛り上げてくれるのも、この絵本のとても楽しく素敵なところとなっています。
見終わった後、「あ~楽しかった!」と、とてもすっきりした読後感を味わえること間違いなしです。
二言まとめ
動物たちが、より巨大な動物たちの上にいるという、まさか過ぎる展開に驚かされる。
現実と大きさの全然違う動物たちへの違和感が、とてもおもしろい動物ナンセンス絵本です。
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