やねうらべやのおばけ(4歳~)

絵本

作:しおたにまみこ 出版:偕成社

自分の家の屋根裏部屋におばけがいたら・・・。

怖がるでしょうか?それとも怖がらない?

さて、おばけに気付いたこの家に住む女の子は、一体どうしたでしょう。

あらすじ

ある古い家の屋根裏部屋ではおばけがひっそりと暮らしていました。

おばけは誰か来た時には透き通って隠れていたので、誰もおばけがいることを知りませんでした。

おばけは飛ぶことも出来たし、小さくなることも出来ました。

ある夜、おばけは大きな月を見るために、窓から外に出て空を一回り飛びました。

その次の朝、屋根裏部屋にその家に住む女の子が入ってきました。

なにかを探しているようです。

女の子はそれから毎日屋根裏部屋に来るようになりました。

おばけは屋根裏部屋を取られるような気がして、女の子を怖がらせ来たくなくなるようにしようと思いました。

それからおばけは女の子の顔にハンカチを落としたり、後ろから肩をつついたり、紙袋をかぶって空を飛んだりしましたが、女の子は怖がりませんでした。

色々と考えた結果、夜におどかしてみることにしました。

夜になり、女の子の寝ているベッドへ行ったおばけは、「やねうらべやのおばけだぞ~」と精一杯の怖い声で女の子の前に現れました。

女の子はどんな反応を見せるのでしょうか。

『やねうらべやのおばけ』の素敵なところ

  • おばけのかわいい反応と仕草
  • 全体的に暗い、雰囲気のある絵
  • 女の子からおばけへのまさかの提案

この絵本の最大の魅力はおばけのかわいさだと思います。

おばけの寝床はマッチ箱。

小さくなって小さな箱に収まって寝ています。

空を飛んだり、小さくれることを見せる場面では得意げな顔を見せます。

女の子に部屋を取られそうと感じた時は腕を組んで頬を膨らませ、女の子が全然怖がらないと、うずくまり過ぎて白玉餅のようになりながら悩みます。

そんなひとつひとつの仕草や反応をみているだけでも楽しいです。

こんなかわいいおばけですが、絵本全体の暗い色使いや、リアルな絵のタッチによっておばけ感は失っていないのがおもしろいところです。

絵本全体を通して、ミステリアスな雰囲気が漂っていて、見ていると夜の部屋を探検しているようなワクワク感も味わえます。

そんなおばけの渾身のおどかしに、女の子からはまさかの提案が返ってきます。

そこからのおばけと女の子のやり取りや、おばけの反応のかわいさは思わずキュンとしてしまいます。

女の子とおばけの子どもらしいやり取りにほっこり出来るお話です。

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