あかいありのぼうけんえんそく(4歳~)

絵本

作:かこさとし 出版:偕成社

赤アリたちの小学校で遠足が始まります。

全校生徒の長く長く伸びた列。

その遠足は楽しさも危険も盛りだくさんの冒険遠足なのでした。

あらすじ

秋になり、あかあり小学校では秋遠足が始まります。

あかあり小学校の遠足は、1年生から6年生までみんなで行きます。

場所はぼたもち山に決まりました。

生徒と一緒にPTAも準備をします。

遠足に合わせて4つの組を作りました。

1,先頭前進班 班長オットコ先生

2,救援給食隊 隊長モコモコばあさん

3,組立工作組 組長ジンキチじいさん

4,団結団子団 団長アララ先生

そして、いよいよ遠足の日。

先頭は前進班と1,2年生。

次に給食班と3,4年生。

その後ろに、工作組と5,6年生。

最後に団子団が続きます。

こうして、長い長い遠足の列がぼたもち山へ進んでいきました。

段々上り坂になってきて、疲れが見え始めた頃・・・。

前方から巨大なアカムカデが襲い掛かってきました。

ここで前進班のお父さんアリたちの出番です。

準備してきた長棒を一斉に突き出します。

アカムカデも長棒に負けて、岩陰に逃げていきました。

こうして、危機を回避した赤アリたちはぐんぐん登っていきました。

ぼたもち山を半分くらい登ったところで、休憩となりました。

給食隊のお母さんアリから冷たい水を、団子団のおばちゃんから甘いコロコロ団子が配られます。

そんな時、一匹の子がお団子を落としてしましました。

コロコロと転げていったお団子はやぶの中へ・・・。

すると、そのお団子を見つけたナメクジビルが、やぶから出てきたのです。

そして、団子もアリも食べようと襲い掛かってきました。

そこで出てきたのが給食隊。

お母さんアリたちが、味付け粉ボールをナメクジビルに投げつけます。

カラシボール、しょうがボール、こしょうボールなどなど、粉を被ったナメクジビルは逃げていったのでした。

こうして、赤アリたちはまた進むことが出来ました。

いよいよ最後の険しい上り坂です。

赤アリたちはぼたもち山のてっぺんへたどり着くことが出来るのでしょうか。

『あかいありのぼうけんえんそく』の素敵なところ

  • 本当の遠足のような細部まで描き込まれた物語
  • 次々と現れる危険生物と知恵を絞った撃退法
  • 最後まで楽しみを忘れない楽しい遠足

この絵本の遠足は、事前準備から遠足の全工程まで、細かく作り込まれ描かれています。

それはさながら、遠足のドキュメンタリーを見ているようです。

準備では子どもの準備よりも、PTAの班分けなどについて描かれます。

しかも、その構成員や誰がリーダーなのかまでしっかりと。

当日の並び順も、最初から最後まできっちり説明してくれます。

もちろん、遠足の工程も、どんな様子かや休憩中にどんな過ごし方をしているか、どんなものが配られるかまで事細かに描かれます。

言葉だけでも詳しいのに、絵の中ではさらに一匹一匹の様子や表情まで描かれているのだから驚きです。

でも、それだけ細かく描いていて、飽きたり中だるみさせないのが本当にすごいところ。

読めば読むほどその世界に引き込まれてしまうのです。

そんな赤アリたちの遠足は、まさに冒険遠足。

楽しいだけではなく、アリたちを狙う危険にも満ちています。

次々に襲い掛かってくる山の危険生物たち。

ですが、しっかりと準備していたPTAの知恵と勇気で切り抜けていきます。

小さなアリたちが大きな生き物たちを撃退する様は、ドキドキワクワクと爽快感が抜群で、まさに手に汗握ります。

子どもたちも、

「先生たち強い!」

「お父さんがいてよかった~」

「お母さんたちもすごかったね!」

と、赤アリの生徒たちのように、胸をなでおろしているのでした。

さて、この遠足には最後のお楽しみも用意されていました。

これが優しさと楽しさと、物凄く理にかなったものになっているのです。

まさに「帰るまでが遠足」。

最後の最後まで楽しさを忘れないあかあり小学校の遠足なのです。

知恵と勇気と前準備でたくさんの困難を楽しく爽快に切り抜けていく。

ハラハラドキドキの冒険遠足に出かけられる絵本です。

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