あかいろうそく(4歳~)

絵本

作:新美南吉 絵:鈴木寿雄 出版:フレーベル館

サルが見つけた一本の赤いろうそく。

サルはその珍しいろうそくを、花火と勘違い。

そんな勘違いから起こる、動物たちのリアクションが楽しい絵本です。

あらすじ

山から里の方へ遊びに行ったサルが、一本の赤いろうそくを見つけました。

サルは珍しい赤いろうそくを花火だと思い、大事に山へ持って帰りました。

山では大変な騒ぎになりました。

動物たちは誰も花火を見たことがなかったからです。

サルは動物たちに花火がどんなに美しいものか、話して聞かせました。

そして、夜になったら打ち上げようと決まりました。

夜になり、動物たちは山のてっぺんに集まりました。

ろうそくは木の枝に括りつけてあります。

しかし、困ったことが・・・。

誰も火をつけようとしなかったのです。

そこで、火をつけるものをくじで決めることにしました。

まずはカメが向かいます。

でも、ろうそくの側まで来ると、首が自然に引っ込んでしまい、うまく火がつけられませんでした。

次はいたちが向かいました。

果たして、火をつけることが出来るのでしょうか。

ろうそくだとわかった時の動物たちの反応やいかに。

『あかいろうそく』の素敵なところ

  • 動物たちが勘違いしているとわかっている面白さ
  • 動物たちのリアクションが面白い
  • 静かな静かな最後の場面

この絵本では、花火ではなくろうそくであることが、最初にわかります。

そして、動物たちが勘違いしていることもわかります。

この視点の違いがとっても面白いのです。

ことあるごとに「あ~、それ花火じゃないのに・・・」というやきもき感。

動物たちが花火に期待を膨らませ、胸を躍らせるほどやきもきします。

この動物たちとの気持ちのずれが、この絵本独特の面白さを生んでいるのだと思います。

これは動物のリアクションにも当てはまります。

「ろうそくに近づくと危ない」と言われ、急いで距離を取る動物たち。

火をつけるのを怖がったり、近づいても身がすくんで火がつけられないカメ。

などなど、花火だと思い込んでいる動物たちのリアクションや、おっかなびっくり感が見ていて飽きません。

そのたびに「ろうそくだから大丈夫だよ・・・」と、面白がりつつ呆れつつ。

そんな勘違いの面白さが最後まで続くのです。

さて、そんな物語の最後。

もちろんろうそくなので、打ち上がったりはしません。

でも、ろうそくならではの雰囲気で終わります。

これまでのドタバタした雰囲気と、最後の場面の空気感の差が大きく。

なんだか不思議な気持ちです。

でも、妙に落ち着く優しい空気。

それは本当に、一本のろうそくをみんなで眺めているような感覚なのです。

勘違いしていることがわかっているからこそ、動物たちの反応が面白い。

見ていてやきもきしてしまう絵本です。

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