かぜのでんしゃにのって(4歳~)

絵本

作:やすいすえこ 絵:葉祥明 出版:絵本塾出版

風の電車に乗って飛ぶ綿毛。

彼らはどこで降りるのでしょう。

降りた場所には綺麗な花が・・・。

あらすじ

風の電車が、野原にやってきた。

綿毛たちが一斉に乗り込み、風の電車は綿毛で一杯。

ある綿毛たちは、命溢れる森へ降りた。

森に一面の花が咲く。

ある綿毛たちは、冷たい谷に降りた。

時が経つと、冷たい谷は一面の花畑になった。

風の電車が走る中、船の上やはらっぱ、家の窓の片隅へ、どんどん綿毛たちは降りていく。

そんな中、一人だけ中々降りられない綿毛がいる。

この子は電車を降りて、どこかで咲くことが出来るのでしょうか。

『かぜのでんしゃにのって』の素敵なところ

  • 綿毛を運ぶ風を電車に見立てる素敵な比喩
  • 一つ一つは小さな綿毛がもたらす変化
  • 応援したくなる最後の綿毛

この絵本では、綿毛を運ぶ風が、電車として描かれます。

とてもわかりやすくて、素敵な比喩。

子どもたちにもイメージが湧きやすく、公園で飛んでいく綿毛を見たら、一緒に電車も見えることでしょう。

さらに、飛んでいくだけでなく、運んでいくというイメージもピッタリ。

電車をイメージするだけで、飛んでいった綿毛がどこで降りるのかも、気になってくるのです。

絵本の中では、色々なところに降りていく綿毛たち。

咲きやすそうなところ。

咲きにくそうなところ。

自然の中。

街の中。

本当に様々です。

でも、どこに咲いても共通していることがあります。

それが変化を起こすこと。

命溢れる森には、さらなる命を。

冷たい谷には、温かい明かりを。

窓の片隅では、人の心に新たな気持ちを。

大小様々な変化を起こしていくのです。

ふぅっと吹くいて飛ばした綿毛が、どこかで変化を起こしているかもしれない。

そんなことを感じさせてくれるところが、とても素敵だなと思います。

さて、そんな綿毛の中には、一人中々降りられない綿毛がいます。

どこに降りようか悩んでいて、中々降りられないのです。

一人、勇気を出して飛び出す綿毛。

その姿を見ていると、自然と応援したくなってしまいます。

そして、その姿からは、花が咲いているのは当たり前ではないことにも、気付かせてくれます。

旅をして、勇気を出して、地面に根付いたから咲いている。

そう考えると、地面に咲いた花を見る時の、見方が変わってくるかもしれません。

子どもたちも、タンポポが綺麗に咲いている場所を思い出し、

「あのタンポポも電車に乗ってきたのかな」

と、思いを巡らせていました。

綿毛が飛ぶという身近な出来事を、電車の旅というわかりやすく、素敵な比喩で表現する。

飛んでいった後の綿毛にも、思いを巡らせるきっかけをくれる絵本です。

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