どんどんちっちどんちっち(5歳~)

絵本

作:川崎洋 絵:長新太 出版:学研プラス

なぞなぞ、替え歌、反対言葉。

言葉には、楽しい要素が盛り沢山。

そんな言葉の面白さを、あらゆる角度から楽しめる絵本です。

あらすじ

・あいうえお、かきくけこ

あの

いしの

うえに

えさを

おいてごらん

からすが

きて

くわえるよ

けんぶつしよう

このまどで

頭文字が、あいうえおかきくけこで出来ている。

・かくれんぼみーつけた

スズメの中に鈴。

キツツキの中に月。

ペンギンの中に銀。

名前の中にも、言葉が隠れている。

・でる

お風呂から出る。

汗が出る。

ごちそうが出る。

涎が出る。

この道は駅に出る。

旅に出る。

試合に出る。

負けて涙が出る。

色々な「でる」がある。

・たんたんたぬきの

たんたんタヌキのきんたまは、風もないのにブーラブラ。

おんおんおサルのしりっぺた、叩かれないのに真っ赤っか。

きんきんキリンの両耳は、人の気配にビークビク。

「たんたんたぬきの」を色んな動物にした替え歌です。

他にも色んな種類の言葉遊びが出てきます。

『どんどんちっちどんちっち』の素敵なところ

  • 色んな角度からの言葉遊び大全
  • 言葉遊びのイメージを形にした絵
  • 語彙と言葉の可能性が思い切り広がる

この絵本は見開き1ページで、1種類の言葉遊びが出てきます。

それが16種類も載っているのです。

なぞなぞ、替え歌、パズルのような文字並べ・・・。

本当に色々な角度から言葉の面白さを感じられます。

子どもたちも、それぞれ食いつくところは違いますが、なぞなぞは特に人気。

「便せんに栓抜きを当てたら、瓶になった。なーぜだ」

という問題では、思い切り頭を悩ませ、「”せん”を抜くからだ!」とわかった瞬間は、なにか大発見をしたかのようでした。

でも、そんな言葉遊びには、イメージしにくいものもあります。

特に2つの言葉が掛け合わされているものは、言葉だけでは直感的な面白さがわかりにくいものも。

そこを綺麗にフォローしているのが、わかりやすい絵です。

この絵のセンスが素晴らしく、言葉遊びの面白さやイメージを、そのまま絵にしたようなのです。

例えば、

「スズメの中に鈴」なら、体が鈴になったスズメ。

替え歌なら、そのフレーズを一つの絵で表現する。

など、言葉遊びのイメージをそのまま抜き出したような絵で、言葉遊びの面白さを感じやすくなっているのです。

さて、そんな言葉遊びの数々ですが、高度なものも入っています。

特に、同じ言葉で違う意味の言葉などは、両方の言葉の意味を知っているからこそ面白いものです。

意味の分かる子は「なるほど!」と、とても楽しめます。

でも、意味が分からない子も大丈夫。

「これどういう意味?」と疑問が出ます。

丁寧に伝え、わかると「なるほど!」とその面白さに気付きます。

すると、他のものも知りたくなります。

その頃には、言葉遊びの虜になっていることでしょう。

そんな、言葉を知ることで、より面白くなり、さらに言葉が知りたくなるというループがこの絵本にはあるのです。

色々な種類、色々な角度の言葉遊びを体験することが出来る。

噛めば噛むほど、読めば読むほど、その面白さがわかっていく、スルメのような言葉遊び絵本です。

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