わがままくまさん(4歳~)

絵本

作:ねじめしょういち 絵:高畠那生 出版:そうえん社

全然冬ごもりをしないクマさん。

森のみんなが心配して、冬ごもりさせようとしてくれます。

でも、次の日には、穴から出てきてしまうのです・・・。

あらすじ

クマさんが冬ごもりをせず、山をうろうろしています。

そこで、森の動物を代表して、ウサギさんがクマさんに、

「冬ごもりをしてください」

と、言いました。

クマさんはうなずくと、冬ごもりの場所を見つけ、穴を掘って、穴の中で冬ごもりを始めました。

次の日の朝。

ウサギさんが歩いていると、クマさんは冬ごもりのことなどすっかり忘れ、山をうろうろしていました。

ウサギさんがもう一度頼むと、クマさんはうなずきました。

他の動物たちも心配し、一緒に穴に入り、マッサージしたり、子守唄を歌ったりと、冬ごもりを手伝いました。

クマさんが眠るのを見届けると、山の動物たちは穴から出てきました。

次の日の朝。

山の動物たちが野山に出かけると、やっぱりクマさんが大きな木に登っていました。

山の動物たちは集まって相談しました。

そして、イノシシさんと山越え競争をさせ、クマさんをクタクタにして眠らせようと考えました。

早速、クマさんを山越え競争に誘うと、クマさんはやる気満々。

山越え競争が始まりました。

今度こそ、クマさんは冬ごもりをしてくれるのでしょうか・・・。

『わがままくまさん』の素敵なところ

  • 安定感抜群のクマさん
  • 予想外(?)なオチ
  • クマさんの絶妙に腹が立つ顔
安定感抜群のクマさん

この絵本の面白いところは、毎回当たり前のように起きてくるクマさんです。

どんなに頼んでも、手を尽くしても、次の日には自然に山をうろついています。

悪びれることもありません。

当たり前のように起きてくるのです。

この安定感が抜群すぎる。

子どもたちも最初は、

「眠れたね」

と、温かく見守っていましたが、次第に、

「絶対起きてくるよ・・・。」

「ほら、起きてきた!」

「も~!」

と、予想通り過ぎるクマさんに、呆れながらも大笑い。

予想通りのことを、綺麗にやってのけるのです。

予想外(?)なオチ

そんなクマさんですが、山越え競争でクタクタになります。

そして、ぐっすり・・・。

ここで、予想が分かれます。

「今度こそ眠って、めでたしめでたし」か、「やっぱり起きてきて、うろうろしているか」。

しかし、待っているのはどっちの予想をした人にも、予想外のオチでした。

オチを見ての動物たちの表情は必見です。

クマさんの絶妙に腹が立つ顔

さて、このお話の流れと、見事なほどマッチしているのが、高畠那生さんの絵です。

この独特な表情が、この絵本をより面白くしてくれます。

特にクマさんの表情。

絶対、なんにも考えていないのが、見るからに伝わってくるのです。

その何にも考えてなさが、動物たちの苦労とのギャップで、絶妙に腹が立ちます。

でも、それがいい。

また、一度だけちゃんと考えている顔もしますが、それもちゃんと、絶妙に腹が立つのもまたいいのです。

このクマさんや動物たちの表情があるからこそ、このシュールな物語が、より面白いものになっているのだと思います。

二言まとめ

動物たちの献身的な苦労と、なんにも考えてなさすぎるクマさんのギャップが面白い。

読んでいると、動物たちと一緒に、なんだか力が抜けてしまう絵本です。

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