ナマコのばあちゃん(4歳~)

絵本

作:こしだミカ 出版:偕成社

海を綺麗にしてくれるナマコ。

ナマコのばあちゃんも、いつも通りゆーっくり海をきれいにしていました。

ところが、大きな嵐が来て、海も街もめちゃくちゃに。

そんな時、ナマコのばあちゃんが!?

あらすじ

ナマコのばあちゃんは、海の中でのんきに暮らしていた。

身の回りにあるものを、ゆっくり食べて、お尻から出して。

海の中では他の生き物たちが一所懸命生きている。

でも、ナマコのばあちゃんはのーんびり。

陸の上では、人間が一生懸命生きている。

でも、ナマコのばあちゃんはのーんびり。

ある日、海の底が身震いし、海の水がでんぐり返った。

でんぐり返った水は、陸に覆いかぶさり、陸の上にあったものを、海の中へ引きずり込んだ。

めちゃくちゃになった海の中で、身を固くしたばあちゃん。

と、次の瞬間。

猛烈な勢いで、身の回りに流れてきた物を食べ始めた。

食べて出して、食べて出して。

汚れた水が、ばあちゃんの体を通って、お尻からきれいになって出てくる。

海はばあちゃんの周りから、ちょっとずつきれいになった。

それを見た人間たちは、「救世主だ!」と大騒ぎ。

マスコミも駆けつけました。

ばあちゃんの勢いは止まらず、食べて出し続けていたら・・・。

ばあちゃんは、海の上に体が出てくるほど大きくなってしまった。

それを見て、最初は喜んでいた人間も、「化け物だ」「取り除くべきだ」と言い出した。

一体ナマコのばあちゃんは、どうなってしまうのでしょう?

『ナマコのばあちゃんは』の素敵なところ

  • ばあちゃんの、何があってもいつも通りな安心感
  • ナマコの知られざる凄さがわかる
  • 始まる前に、ナマコの生態が超わかりやすく描いてある。

ばあちゃんの、何があってもいつも通りな安心感

この絵本の主人公、ナマコのばあちゃんはいつものんびりしています。

どんなに周りが大変そうでも、やることは変わりません。

食べて出して、食べて出して。

少しずつ海を綺麗にしてくれているのです。

そんなのんびり感が伝わってくる文章も楽しく、

「ふにゃーっとして、ぽてーとして」

という、決まり文句に、見ている方ものんびり脱力してしまいます。

しかし、ばあちゃんのすごいところは、なにがあってもいつも通りな所。

海が大荒れしても、やることは変わりません。

食べて出すだけ!

汚れに応じて、勢いは増しますが、やってることは変わらない。

さらに、人間の都合でやっかいものにされた時も、子どもたちが、

「かわいそう!」

「助けてくれたのに!」

と、怒る中、ナマコのばあちゃんは「ふにゃーっとして、ぽてーとして」います。

怒っていた子も、この姿を見せられたら、怒りがどこかへ消えてしまうみたい。

このいつも通りという、ばあちゃんの安心感が、この絵本のとても素敵なところです。

ナマコの知られざる凄さがわかる

さて、この絵本を読むと、ナマコの知られざる凄さがわかります。

見た目がなんだか気持ち悪かったり、毒々しい色だったりで、敬遠されがちなナマコ。

ですが、その驚く程の無害っぷり・・・、いや、むしろ有益っぷりに驚かされるのです。

地道に砂を食べ、汚れを吸収し、きれいにして出してくれるナマコ。

その結果、海も綺麗にしてくれます。

特に、大荒れし、真っ黒になった海をきれいにしていく姿は、もう地味とは言えません。

その姿はまさにダイソン。

もちろん現実では、ナマコ一匹でこんなにきれいにはなりませんが、たくさんのナマコがこれと同じことをしているのは事実でしょう。

絵本を通して、ナマコの凄い力や、ありがたさに気付かせてくれるのです。

きっと、前よりもナマコが可愛く見えることでしょう。

始まる前に、ナマコの生態が超わかりやすく描いてある。

そんな素敵な物語とナマコの力ですが、ある程度ナマコの知識がないと、100%は楽しめません。

そこで、この絵本では、一番最初に超わかりやすく簡潔に、ナマコの生態が載っています。

体はちくわみたいになっていること。

まわりの砂を食べ、栄養分を体に取り入れて、きれいになった砂をお尻から出すこと。

体を半分に切られたら、2匹になる時もあるほど、再生力が高いこと。

など、ナマコの基本的な生態を知ることが出来ます。

この生態は、絵本の中で全て活躍するので、最初に知っているとより物語を楽しめるのです。

こうしてナマコのことを知った上で、物語を楽しみながら、ナマコの魅力に触れていける作りが、とても自然で素敵なものになっています。

二言まとめ

ナマコのばあちゃんの、のーんびりとした大活躍を通して、ナマコの凄さを知ることが出来る。

読めば、ナマコを前より可愛いと思えるかもしれない絵本です。

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