ちっちゃなサンタさん(4歳~)

絵本

作:ガブリエル・バンサン 訳:もりひさし 出版:BL出版

子どもと同じくらいの大きさのちっちゃなサンタさん。

空から降りてきたときに、女の子と出会います。

でも、あげるプレゼントを持ってません。

それを聞いた女の子は・・・。

あらすじ

12月24日のお昼過ぎ。

空からサンタさんが、パラシュートで降りてきた。

それを見つけた女の子。

サンタさんに駆け寄ると、そのサンタさんは女の子と同じくらいの背の高さ。

ちっちゃなサンタさんだった。

「クリスマスのプレゼントは?」と聞くと、「なにももっていない」という。

なにも持っていないちっぽけなサンタクロースだと。

ちっちゃなサンタさんが、申し訳なさそうにしていると、女の子はサンタさんを待たせて家に帰った。

そして、部屋から人形を持って、サンタさんのところに戻ってきた。

女の子はその人形をサンタさんにあげた。

サンタさんは喜んだ。

人形をもらったサンタさんは、またパラシュートで空に帰っていく。

帰り際、2人は来年の同じ日、同じ時刻にここで会う約束をして・・・。

『ちっちゃなサンタさん』の素敵なところ

  • サンタさんにプレゼントをあげるという、いつもと逆の展開
  • お姉ちゃんに弟が出来たかのような2人の姿
  • 会話だけで進んでいく臨場感ある物語

サンタさんにプレゼントをあげるという、いつもと逆の展開

この絵本の面白いところは、サンタさんにプレゼントをあげるという、いつもと逆の展開です。

最初は、女の子も見ている子どもたちと同じ気持ちを持っています。

サンタさんを見つけたことに驚きながらも、プレゼントをもらいにいきます。

でも、持ってないことを知りガッカリします。

一応お菓子も持ってないか聞いてみます。

けれどやっぱり持っていません。

聞けば聞くほど縮こまり、申し訳なさそうにしているサンタさん。

その頼りなさはイメージの中のサンタさんとは似ても似つきません。

そこで動いたのが女の子。

逆にプレゼントも持ってきて渡します。

クリスマスプレゼントに喜ぶサンタさん。

いつもと全く逆の構図に、驚きつつも心から良かったと思えてくるから不思議です。

きっと、サンタさんが心細い子どものように見えるからでしょう。

悲しそうなサンタさんの表情が笑顔になったのを見て、安心感と幸せな気持ちがこみ上げるのです。

お姉ちゃんに弟が出来たかのような2人の姿

普通ならプレゼントをもらえずにガッカリするところですが、2人にそんな気持ちはありません。

心の底から満足そうな様子を見せてくれるのも、この絵本の素敵なところ。

女の子は、サンタさんが喜ぶ姿を見て、とても満足そうで誇らしげ。

きっと、悲しい気持ちを、幸せな気持ちにさせることが出来たからでしょう。

サンタさんは、プレゼントをもらい、子どものように笑い嬉しそう。

その人形で遊ぶ時も、子どものような無邪気な表情を見せてくれます。

この2人の姿は、まるで姉弟。

お姉ちゃんが、泣いている弟をあやしてあげている様です。

そして、泣き止んで笑顔になるのを見て、安心感と幸せな気持ちを感じる。

そんな雰囲気を2人の様子からは感じ取れるのです。

会話だけで進んでいく臨場感ある物語

さて、2人の心の動きが、とても伝わってくるこの物語。

文章が全て会話で進んでいくのも、素敵でおもしろいところです。

余分な文章がないことで、女の子とサンタさん、2人だけの時間が流れます。

会話だけで進んでいくからこそ、目の前で本当に話している様に見えてくるのです。

また、想像力もフルにかきたてられます。

その言葉を言った時の気持ち、言われた時の気持ち。

人形を取りに変える時の疾走感やその道のり。

ナレーションなど、第三者の視点が挟まらないからこそ、もの凄い没入感が生まれるのです。

見ていると、自分も会話や物語の中にいる感覚に慣れるのも、この絵本のとても素敵なところです。

二言まとめ

プレゼントを持っていないサンタさんに、女の子がプレゼントをあげるという、いつもと反対の展開がおもしろい。

ちっちゃなサンタさんと女の子の、姉弟のようなやり取りにとても優しい気持ちなる、クリスマス絵本です。

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