もうちょっともうちょっと(3歳~)

絵本

文:きむらゆういち 絵:高畠純 出版:福音館書店

コブタが取ろうとしていたリンゴが、穴の中へコロコロコロ。

取ろうとしますが、手がギリギリ届きません。

そこで他の動物にも手伝ってもらうことに。

取れそうで取れないモヤモヤ感が楽しい絵本です。

あらすじ

お腹の空いたコブタが、木になっているリンゴを見つけました。

しばらく待っていると、リンゴは木から落ちてきました。

喜んでいたのも束の間、リンゴは坂を転がって、細い穴の中へ入ってしまいました。

コブタは、穴の中へ手を伸ばしますが、中々リンゴへ届きません。

そして、手の先がリンゴへ「ツンッ!」とぶつかって・・・。

リンゴはさらに奥へと入ってしまいました。

そこへサルが通りかかりました。

理由を聞くと、コブタより手が長いから手伝ってくれることに。

ですが、やっぱりぎりぎり届きません。

そして、手の先がリンゴへ「ツンッ!」とぶつかって・・・。

リンゴはさらに奥へと入ってしまいました。

そこに今度はキツネがやってきました。

理由を聞くと、長い尻尾で取ってくれることに。

でも、やっぱりあと少し届きません。

そして、「ツンッ!」・・・。

どんどん奥へ入っていくリンゴ。

果たして、食べられる日はくるのでしょうか?

『もうちょっともうちょっと』の素敵なところ

  • 大笑い間違いなしの繰り返し
  • 手やしっぽを伸ばす必死さが滲み出た絵
  • 「そんなのあり!?」な最後の場面

大笑い間違いなしの繰り返し

この絵本のなによりおもしろいところは、リンゴを取ろうとして奥に押してしまう繰り返しでしょう。

色々な動物がチャレンジしますが、みんな流れも結果も同じです。

「もうちょっともうちょっと・・・」

と、手が届きそうなところで、「ツンッ!」と押してしまい、「あっ!」という声と「やっちまった!」という表情。

この流れがたまらなくおもしろい。

この完成された流れは、まるでダチョウ倶楽部のよう。

「押すなよ押すなよ・・・」からの「ドボーン!」というコントをみているみたい。

子どもたちは、「もうちょっともうちょっと・・・」のところですでにニヤニヤ。

「ツンッ!」「あっ!」を見たら大笑い。

繰り返しだからこそ、予想が出来ておもしろい。

この鉄板の流れが、この絵本のおもしろく素敵なところです。

手やしっぽを伸ばす必死さが滲み出た絵

また、そのおもしろさをさらにおもしろくしてくれているのが、動物たちの気持ちが伝わり過ぎる絵です。

「あっ!」という時の、表情もさることながら、一番は手を伸ばす時の力の入り具合と必死さです。

肩まで腕を入り込ませようとする態勢。

足の先まで入った力。

少しでも腕を伸ばすためそむけた顔の向き。

手の先へ全ての集中を向ける表情。

そのどれもにリアリティが溢れています。

そこに加わる「もうちょっともうちょっと・・・」の掛け声。

それはまさにタンスの隙間に落ちたものを取る時のよう。

動物たちの姿を見ていると、その時を思い出し、見ている方にも自然と力が入ってしまうのです。

そして、この力の入り具合があるからこそ、解放される瞬間の「ツンッ!」「あっ!」がよりおもしろくなるのです。

「そんなのあり!?」な最後の場面

さて、そんな大笑いした後の最後の場面。

あっと驚く展開が待っています。

「めでたしめでたし」で終わるかと思っていたら、まさかの行動に出るある動物。

これには子どもたも「えー!?」と、びっくり。

まさかの行動にわやわやする動物たち。

一緒にわやわやする子どもたち。

この二つがリンクしてまあおもしろい!

まさか最後にドタバタ劇まで用意されているとは。

最初から最後まで笑いの絶えないところも、この絵本の素敵なところです。

二言まとめ

往年の鉄板コントのような、先の読める繰り返しがおもしろい。

最初から最後まで笑いの王道を突っ走る、笑いっぱなしな一冊です。

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