ピヤキのママ(4歳~)

絵本

作:ペク・ヒナ 訳:長谷川義史 出版:ブロンズ新社

弱い者いじめが大好きな札付きのネコ。

ある日、ニワトリの卵を丸呑みします。

それ以来、段々とお腹が大きくなり・・・。

あらすじ

ニャンイという、やっかいもののネコがいました。

太っちょで、食いしん坊、弱い者いじめが好きな札付きのネコでした。

ニャンイの大好物は、産みたての卵です。

そんなある朝。

ニャンイは鳥小屋にある一つの卵を見つけました。

親鳥は留守です。

ニャンイはすぐさま、その卵を口に入れ、どこかへと行ってしまったのでした。

それから日ごとに、ニャンイのお腹は大きくなっていきました。

お腹の中で、卵の中身が育っていたのです。

ある日、お腹が痛くなり、ニャンイはトイレに走りました。

ニャンイはトイレで踏ん張ります。

ところが、踏ん張って出てきたのは、うんこではなくヒヨコ。

驚くニャンイのところへ、ヒヨコがよちよちと歩いてきて、胸に身をうずめます。

どうしたらいいかわからにニャンイでしたが、ヒヨコの頭をそっとなめてみました。

すると、気持ちよさそうに目を閉じ「ピヤッ・・・」と返事をするヒヨコ。

それを見て、ニャンイはなぜだか胸が痛くなりました。

そして、ヒヨコのことを「ピヤキ」と名付けたのでした。

ニャンイとピヤキの暮らしは一体どんなものになるのでしょうか?

『ピヤキのママ』の素敵なところ

  • 見た目も行動も悪すぎるニャンイ
  • ヒヨコを生んじゃうまさか過ぎる展開
  • 変わっていくニャンイと周囲の姿

見た目も行動も悪すぎるニャンイ

この絵本で、最初に目に留まるのは、悪すぎるニャンイの姿でしょう。

その人相の悪さに負けないくらいの素行の悪さに驚きます。

特に、産みたての卵を、お母さん鶏の目の前でもてあそぶ姿は悪魔そのもの。

こんなに悪いネコはそうそう見ないことでしょう。

周囲からもやっかいもの扱いされているし、見ている子どもたちも「やだー!」と嫌っています。

でも、だからこそ物語の後半へと繋がっているのです。

ヒヨコを生んじゃうまさか過ぎる展開

そんなニャンイにも転機が訪れます。

いつも通り、卵を盗み食べるのですが、いつもと様子が違います。

お腹が大きくなっていくのです。

お腹の中で受精卵から、ヒヨコの姿へ育っていく様子が描かれているのもおもしろく、生命の誕生の神秘へもちょっぴり触れることが出来ます。

わかる子には、

「あ!鳥の形になってきてる!」

とわかり、ヒヨコが生まれるんじゃないかという期待感が高まります。

そして、本当に生まれるヒヨコ。

予想していた子も、そうではない子も、みんなびっくり。

「ヒヨコが生まれちゃった!」

「うんちだと思った!」

「卵生きてたんだ!」

と、まさかの展開に大盛り上がりでした。

変わっていくニャンイと周囲の姿

しかし、安心してばかりもいられません。

目の前には札付きの悪者ニャンイがいるのです。

ヒヨコだって食べてしまうかもしれません。

ニャンイがヒヨコの頭をなめようとする時など、みんな目を覆ってビクビクしていたくらいです。

でも、そうはなりませんでした。

ヒヨコが自分を慕う姿を見て、なにかが変わったニャンイ。

そこからのヒヨコとの生活は、とてもほっこりする、不器用で温かいものでした。

この絵本の素敵なところは、ニャンイの変わった姿だけでなく、周囲から認められる姿も描かれていること。

変わったことで、社会に受け入れられる。

それに対する、ニャンイの最後の一言がなんとも素敵なのです。

二言まとめ

手の施しようのないやっかいものが、守るべきものを見つけた瞬間変わっていく。

その不器用な一生懸命な姿と、それが認められる様子に心温まる絵本です。

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