【絵本】びーだまふくろう(3歳~)

絵本

作:マランク・リンク 絵:マルタイン・ファン・デル・リンデン 訳:斉藤洋 出版:ほるぷ出版

色んな模様のビー玉たち。

ある日、オバケを見つけ逃げ出します。

色んなビー玉遊びのおもちゃを通って。

あらすじ

フクロウ模様のビー玉フクロウが、みんなに会いに行った。

アシカに、カエル、ネコの目、サメ、海賊など、色々な模様のビー玉たちがいる。

一緒に遊ぶことになったけど、ビー玉フクロウはあるものを見つけた。

それは恐ろしいビー玉じゃないオバケたち。

ビー玉たちは驚いて逃げ出した。

高い柱をみんなで登る。

それはビー玉転がしのコースの柱だった。

頂上に着き一安心・・・かと思いきや、後ろから押されて、ビー玉アシカが落ちてしまった。

ビー玉アシカはレールの上を転がって、下まで落ちていきます。

ビーだまアシカが落ちたので、みんなもい一緒に転がって、結局みんな下に降りてしまいました。

このままではオバケに見つかってしまいます。

ビー玉たちが困っていると、赤い穴を発見!

みんな入るけれど、浅くて丸見え。

すぐに見つかってしまいそうです。

そこで今度は、別のビー玉転がしの坂を登ります。

でも、フクロウが途中で転がり落ちてしまい、一番下についていたベルが「チーン!」。

これではオバケから逃げているのか、呼んでいるのかわかりません。

次にらせん状のビー玉転がしを登りますが、フクロウはやっぱり転がり落ちてしまい・・・

パチンコで撃ちだされて逃げようとしても、フクロウは怖くて飛び出せず・・・。

さらに迷路では迷子になり・・・。

と、全然うまくいきません。

みんなに迷惑をかけるのが嫌になったフクロウは、「自分を置いて向うに見える門へ行ってくれ」と他のビー玉たちに訴えます。

ビー玉たちはオバケから逃げることができるのでしょうか?

そして、その門の正体は・・・?

『びーだまふくろう』の素敵なところ

  • 色々なビー玉転がしを巡る逃走劇
  • なにをやってもうまくいかないフクロウが、かわいくてほっとけない
  • この絵本らしいオバケの正体

色々なビー玉転がしを巡る逃走劇

この絵本のとても楽しいところは、色々なビー玉転がしを通ってオバケから逃げていくところでしょう。

オバケを見つけて逃げるビー玉たち。

その逃走経路はみんな、ビー玉に関係するおもちゃばかりです。

自分でコースを作るビー玉転がし、左右をカッタンカッタンと往復して落ちていくビー玉転がし、バネでビー玉を撃ちだすパチンコ、木の箱を傾けてゴールまで転がす迷路・・・。

どれも一度は目にしたことがあるものばかり。

目にしたことがなくても、やってみたいと思うものばかりでしょう。

確かに、転がっていくビー玉はなにかから急いで逃げているように見えるかもしれません。

このビー玉転がしの特徴が、オバケからの逃走劇とピッタリ合っているからこそのおもしろさなのかもしれません。

また、ビー玉転がしの通り方が、普通とは違うのもおもしろさに繋がっているでしょう。

普通のビー玉は転がっていくだけですが、このビー玉たちには足がついていて意志があります。

なので、ビー玉転がしを登っていくこともできるのです。

普段は滑り降りるだけのコースも、この絵本では登り坂として逆走したりもします。

その中で、足を滑らせ、いつものビー玉のように転がるのですから、子どもたちが大爆笑するのも当たり前。

このビー玉らしからぬ行動と、ビー玉らしい行動のコントラストが、子どもたちをドキドキさせつつ大笑いさせるおもしろさを生んでいるのです。

なにをやってもうまくいかないフクロウが、かわいくてほっとけない

では、このビー玉らしい行動を担当するのは誰でしょう?

それがビー玉フクロウです。

ビー玉フクロウはなにをやってもうまくいきません。

せっかく登ったのに、他のビー玉を押し出してしまう。

上り坂では必ず転がり落ちてしまう。

迷路では迷子になって、みんなに見つけてもらう。

など、毎回みんなに助けてもらい、足を引っ張ってしまいます。

でも、その姿はまさにビー玉。

みんなが生き物だと思い始めた時に、「あっ、ビー玉だった」と前提を思い出させてくれるのです。

それに、仕草がかわいいので、みんなビー玉フクロウが大好き。

「あ、フクロウがまた転んでる!」

「あー!お~ち~る~」

「だれか助けてあげて!」

と、大笑い&大喜び。

フクロウが最後に自暴自棄になりますが、他のビー玉たちも、子どもたちもフクロウのことを放っておけません。

このマスコット的なビー玉らしいおっちょこちょいさも、この絵本のとても楽しく癒されるところです。

この絵本らしいオバケの正体

さて、こうしてオバケから逃げてきたビー玉たち。

でも、このオバケの正体が意外なものだったのも、この絵本のおもしろいところです。

最後の門をくぐった時、初めてこのオバケの正体がわかります。

同時に、逃走劇の舞台の全体像もわかります。

ここで初めて、色々なことが「あ~!そういうことね!」と伏線回収含めて腑に落ちるのです。

これまでの壮大な逃走劇が、一気に自分の遊び場に戻ってくる感覚は、この絵本ならではでしょう。

少し引いてみるだけで、全然違う世界が見えてくるのです。

そして、この全体像を見せた後に、またビー玉たちの目線に帰ってくるのが、この絵本のとてもおもしろいポイントです。

もちろん、ビー玉たちには全体像が見えていないので、オバケの正体もわかっていません。

ビー玉たちは、そこにオバケがいないことにほっとして、

子どもたちは、オバケの正体にほっとしている。

この視点のギャップが、全体像を見たことで生まれるのです。

ここまでは、「オバケに見つからないかな・・・」とビー玉と同じ気持ちで見ていた子どもが、最後の場面では「オバケなんていないのに!」とビー玉たちを俯瞰して見ている。

俯瞰して見ることで、ビー玉たちがなんで気付かないのかという、別の視点でみるおもしろさと不思議さに気付く。

この変化が、この絵本のなんともおもしろいところです。

二言まとめ

色々な模様のきれいでおもしろいビー玉たちの、ビー玉転がしを使った逃走劇がおもしろすぎる。

見たら、ビー玉転がしとごっこ遊びをくっつけたくなる絵本です。

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