【絵本】すいかのプール(4歳~)

絵本

作:アンニョン・タル 訳:斎藤真理子 出版:岩波書店

さあ、今年もスイカのプールがプール開きです。

甘い果肉に足をつけると冷たくて気持ちいい。

種を取れば、たまった果汁に浸かることもできますよ。

あらすじ

真夏の暑い時期。

巨大なスイカが半分に割れました。

そこへおじいさんがやってきて、梯子をかけたら、スイカのプールのプール開きです。

おじいさんは果肉を踏みしめ、種を取り、たまった果汁に肩まで浸かりいい気持ち。

プール開きだと聞いて、たくさんの子ども達もやってきました。

ツルを伝って登って行けば、スイカの葉っぱの飛び込み台も。

ジャンプすると、体が果肉の中にすっぽり。

友だちにスポンと抜いてもらいます。

スイカの果肉は、投げ合ったり、掘って遊ぶのにも使えます。

遊んでいるうち果肉は減って、スイカのジュースがたまってきます。

スイカのジュースでは、浮き輪で浮いたり、泳いだり、また違った遊びが楽しめます。

そんな中、お日さまが燃え上がってくると、やってくるのが雲屋さん。

雲屋さんが売る、雲パラソルに雨雲シャワーは大人気。

雲のパラソルがあれば、スイカのプールの上でも日陰で涼みながら遊ぶことができるのです。

しばらくプールで遊んでいた子どもたち。

その中の1人の男の子が、プール開きをしたおじいちゃんにすべり台を作ってほしいと頼みました。

すると、スイカの皮の一部を切り出し、それをすべり台に。

大人も子どもも楽しく滑って遊びます。

こうして楽しく遊んでいると、あっという間に夕焼けの時間になりました。

1人ずつ遊んでいた子が帰って行って・・・。

『すいかのプール』の素敵なところ

  • スイカの特徴を活かしに活かしたスイカのプール
  • かゆいところに手が届く雲屋さん
  • 考えるほど不思議な最後の終わり方

スイカの特徴を活かしに活かしたスイカのプール

この絵本のとても素敵なところはなんといっても、気持ちよさそうなスイカのプールに入れるところでしょう。

あのスイカの冷たいおいしさを思い浮かべるだけで、入ったら気持ちいいことが簡単に想像できてしまいます。

きっと、これ以上プールに向いた果物はないでしょう。

もう、この気持ちよさだけで、この絵本は十分に魅力的なのですが、それだけでは終わらないのがこの絵本。

これでもかとスイカらしさを押し出してくるのです。

脚を踏み入れたときの、シャクシャクという果肉の感触。

種を取った時の、穴に果汁がたまっている感じ。

果肉が減ってくると、スイカジュースがたまり、本当のプールみたいになるところ。

そんなスイカあるあるが、全てプールの設定に活かされていて、ものすごく自然に想像できてしまうのです。

スイカ好きにはたまらない、スイカらしさが満載の気持ちよさそうなプール。

これが、この絵本のなによりも楽しくて嬉しい、唯一無二の魅力です。

かゆいところに手が届く雲屋さん

ただ、そんなスイカプールにも弱点があります。

それは自然の巨大スイカをプールにしているので、日差しを遮るものがなにもないということ。

そして、絶対に果汁でべたつくということです。

けれど、スイカのプールにはそれらを解決してくれる存在がいました。

それが雲屋さん。

日差し対策には雲のパラソル。

べたつきには雨雲シャワー。

かゆいとろこに手が届き過ぎる、素晴らしいサービスです。

さらに、雲のパラソルは夢のような商品。

頭の上に浮かんでいるので、手も使わないし、どこにいてもついてきてくれるので、パラソルの下にこもらなくていいのです。

泳いでいる時も、お風呂のように浸かっている時も、しっかり日陰を作ってくれます。

なんといっても、雲の店員さんが雲を売ってくれるという世界観が楽しいことこの上ない。

子どもたちも、

「これがあったら、夏にも散歩に行けるね!」

「雨のシャワー気持ちよさそう」

「雲がペットみたいでかわいい♪」

と、欲しくてたまらない様子。

この羨ましさの塊な雲屋さんのサービスも、この絵本のとても素敵なところです。

考えるほど不思議な最後の終わり方

さて、そんなスイカのプールですが、よく考えると不思議です。

「実はスイカは普通のスイカで、小人が入っているのかも?」

など、色々なことが考えられます。

でも、絵本の中では、普通の大きさのスイカを収穫している農家の人がいるなど、スイカのプールが特別大きいように描かれています。

ということで、みんな「巨大なスイカが特別なんだ」という共通認識で見ていくことになるのですが・・・

最後の最後でちゃぶ台をひっくり返されるのでびっくり。

スイカのプールが終わった後、驚きの展開が待っているのです。

「やっぱり小人だったのか?」

「スイカを食べながらの想像だったのか?」

「さらに大きな人が存在するのか・・・?」

色んな想像がふくらんでしまいます。

この、ミステリアスな終わり方もまた、この絵本のおもしろいところです。

ぜひ、この不思議を子どもたちと読み解いてみてください。

二言まとめ

スイカらしさが詰ったスイカのプールが、想像するだけでひんやり気持ちいい。

ファンタジーのおもしろさと、スイカのリアルさが見事に融合した絵本です。

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