文:風木一人 絵:中辻悦子 出版:福音館書店
ある日、空からたくさんの三角が降ってきました。
その三角が集まって、合体して大きな怪獣に大変身。
さらに、四角も降ってきて・・・。
あらすじ
ある日、空からたくさんの三角形が降ってきました。
降り積もった大小様々、色んな色の三角たちは動き出し・・・
三角怪獣サンガジラになりました。
次に、四角もいっぱい降ってきました。
降り積もった四角たちは動き出し・・・
四角怪獣シカクドンになりました。
今度は、丸も降ってきました。
降り積もった丸たちも動き出し・・・
丸まる怪獣マルルーンになりました。
さらに、この怪獣たちが集まって・・・
一体どうなってしまうのでしょう?
『あるひそらからさんかくが』の素敵なところ
- 一つの形だけで作るおもしろい怪獣
- 三角、四角、丸、身近な形が全部出てくる
- 盛り上がりつつも平和な怪獣たちの最後
一つの形だけで作るおもしろい怪獣
この絵本の、なによりおもしろいところは、1つの形だけで怪獣を作り上げていくことでしょう。
怪獣が出てくるだけでも盛り上がる子ども達。
そこに子どもたちが興味惹かれる図形という要素が加われば、盛り上がらないはずありません。
よく知っている三角が、怪獣になる姿に大盛況。
「三角が怪獣になった!」
「すげー!」
「子どももいる!かわいい!」
と、驚きの声をあげていました。
さらに、四角だけ、丸だけと、色々な形で完成する怪獣たち。
四角だと重厚感が、丸だとかわいい感じが出て、それぞれの形の特徴も怪獣に反映されていておもしろい。
まさに三角怪獣、四角怪獣、丸まる怪獣にふさわしい形になっています。
この、一つの形という縛りの中で完成される怪獣のおもしろさが、この絵本のとても素敵で盛り上がるところです。
三角、四角、丸、身近な形が全部出てくる
また、タイトルでは三角しか出てきませんが、物語の中ではきちんと四角や丸といった、慣れ親しんだ形が出てきてくれるのも嬉しいところ。
子どもたちも、
「今度四角が降ってきた!」
「なにになるのかな?」
「丸もあるかな?」
と、三角だけじゃないことにワクワク。
この後の期待感も膨らみます。
やはり、この3つは、生活の中にも溶け込んでいるし、おもちゃの中でもよく扱う形。
子どもたちの中にも、セットという感覚があるのでしょう。
このセットを網羅して、それぞれの形に合わせた恐竜に変身させてくれるも、この絵本のとてもおもしろいところです。
盛り上がりつつも平和な怪獣たちの最後
さて、こうして完成した3種類の怪獣たち。
最後の場面で集まりなにかを始めます。
これが三角、四角、丸が集まった集大成となっているのもこの絵本のおもしろいところです。
パワーアップする怪獣に大盛り上がりの子ども達。
子どもたちのロマンと、まるでブロックや積み木のような馴染み深さが組み合わさるからでしょう。
子どもたちから歓声が上がります。
ですが、怪獣がパワーアップしたら、次はどうするでしょう?
これには不安を見せる子どもたちも出てきて、
「街に来たらどうしよう」
「ウルトラマンと戦うのかな?」
「ちょっと怖いね」
という声が。
しかし、街を壊しに行かないし、投げっぱなしにもしないのが、この絵本の素晴らしいところ。
理にかない、かつとても平和な方法で終わるのです。
この、怪獣のパワーアップに盛り上がるのに、ものすごく平和で納得感抜群な方法で気持ちよく終わるのも、この絵本のとても素敵で優しいところとなっています。
ぜひ、この怪獣たちの行く末を見届けてあげてください。
二言まとめ
降ってきた1種類の図形で、図形の特徴を活かした怪獣が出来上がっていくのがおもしろい。
さらに3種類の図形が集まった時の化学反応に、大盛り上がりな絵本です。
コメント