作:高畠純 出版:光村教育図書
立ったまま微動だにしない動物たち。
でも、3つ数えると・・・。
弾ける笑顔で陽気に踊り出しますよ!
あらすじ
カバがじっと動かず立っています。
でも、3つ数えると動きます。
1・2・3・・・
ボボンバボンボンと、手足を振り振り思いっきり踊り出しました。
ゾウがじっと動かず立っています。
でも、3つ数えると動きます。
1・2・3・・・
パオパオパオーンと、鼻を振り振り思いっきり踊り出しました。
ウマとウシがじっと動かず立っています。
でも、3つ数えると動きます。
1・2・3・・・
ヒヒンバヒヒンバ、モーラモーラと、2人で思いっきり踊り出しました。
5匹のブタがじっと動かずこちらを見ています。
でも、3つ数えると動きます。
1・2・3・・・。
まだまだ出てくる動物たち。
どんな踊りを披露してくれるのでしょうか?
『ボボンバボンボン』の素敵なところ
- 1・2・3で踊り出すキレッキレの動物たち
- 思わず笑ってしまう踊りとかけ声
- 最後のワニは動きません
1・2・3で踊り出すキレッキレの動物たち
この絵本のなによりおもしろいところは、静から動への勢いあり過ぎる切り替えでしょう。
出てきた時はまったく動かない動物たち。
表情も真顔なので、若干怖いくらいです。
けれど、3つ数えると動くことを教えてくれます。
さらにカウントアップまで。
これには、子どもたちも期待を膨らませずにはいられません。
「口開くのかな?」
「鳴くんじゃない?」
と、ワクワクドキドキ。
楽しみ過ぎて、「1・2・3・・・!」と、カウントアップにも力が入ります。
そして、ページをめくると・・・
まさかのキレッキレで踊り出す動物たちの姿が。
「すっごい踊ってる!?」
「なにこの動き~!」
と、予想外過ぎる動物たちの動きに、子どもたちは驚きながら大爆笑。
動物の動きと同じくらい盛り上がっていました。
もちろん、これを見てしまったら、次の動物の動きにも期待せずにはいられません。
もう、動物が出てきた時から、ニヤニヤが止まらなくなっている子どもたちでした。
この、まったく動かなかった動物たちが、カウントと同時に突然キレッキレに踊り出すおもしろさが、この絵本の子どもの心を鷲掴みにしてしまうところです。
思わず笑ってしまう踊りとかけ声
そんな子どもたちの心を掴んで離さないキレッキレの踊り。
ここには、子どもを笑わせるポイントが詰っています。
まずは、動物たちのポーズ。
手足を大きく伸ばし、ヒップホップと阿波踊りを組み合わせたような、独特な踊り方を見開きいっぱいに見せつけてきます。
さらに、その表情のとぼけたような笑顔が加わり、もうおもしろさしか感じられません。
言うなれば、ドリフやあほの坂田師匠の踊りを見ている感じ。
もう、理由はないけど吹き出してしまうのです。
さらにさらに、ここにおもしろさをプラスしてくるのが、独特なかけ声。
カバなら「ボボンバボンボン ボボンバボンボン」
ゾウなら「パオパオパオーン パオパオパオーン」
ウマとウシなら「ヒヒンバヒヒンバ モーラモーラ モモンデモーラ」
といったように、動物に合わせたものすごい耳に残るかけ声を合わせてくるのです。
もう、これらが組み合わさったら、爆笑するしかありません。
子どもたちは、動物たちの踊りを見るたび大爆笑!
「変な踊り~!」
「めっちゃおもしろい!」
と、腹を抱えて笑っていました。
中でも「おもしろすぎて、もう一回見たくなっちゃう~」と言っていた子が印象的。
いつも、大人しい子でしたが、ツボにはまったようで、まさかのアンコールをされました。
この、子どもが思わず笑ってしまう要素がすべて盛り込まれ、見たら笑うしかない踊りと掛かけ声のおもしろさとインパクトが、この絵本のみんなで笑える素敵なところです。
最後のワニは動きません
さて、こうしてキレッキレの踊りを披露してくれた様々な動物たち。
ですが、最後に出てきたワニは動きません。
出てきた時に「ワニはなにもしません、動きません。3つ数えても動きません」と、ちゃんと説明もされています。
でも、ここまで踊りを見て盛り上がっている子どもたちには、振りにしか見えません。
「そう言いながら動くんでしょ?」
という空気が充満しています。
けれど、このワニ。
そんな空気感などいざ知らず、本当に動かないのです。
そこへ、動かそうとやってくるゴリラ。
今度は、ゴリラが「1・2・3」と数えますが・・・。
この最後になって、踊らないやり取りもまた、この絵本のとてもおもしろいところになっています。
テンションが上がりきった子どもを、見事にクールダウンさせるワニ。
しかし、これは壮大な伏線だったのです。
それが解決されるのが、なんと絵本の裏表紙。
これまでシンプルに笑わせてきたのに、最後でまさかの変化球を投げてきます。
これがなんともいいスパイスになっていて、新鮮な驚きと笑いで絵本が終わるのです。
この、最後に出てくる動かないワニの変化球なおもしろさも、この絵本をよりおもしろくしてくれているところです。
ぜひ、裏表紙まで使った、ワニの壮大な伏線回収を確かめてみてください。
きっと、思わず子どもと一緒に「動いた!!!」と言ってしまうことでしょう。
二言まとめ
少しも動かない動物たちが、3つ数えると思いっきり動き出すという、静から動への切り替わりがおもしろすぎる。
笑いのセオリーが詰りに詰ったキレッキレの踊りに、大爆笑が止まらないナンセンス絵本です。
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