【絵本】いいいろふうせんや(1歳~)

絵本

作:たなかしん 出版:早川書房

ペンギンの風船屋さんが飛んできました。

お客さんは動物たち。

動物の色と風船の色のぴったり感が楽しい絵本です。

あらすじ

ペンギンの子どもが、たくさんの色の風船を持って、ふわふわと飛んでいきます。

するとキリンがやってきて、

「黄色い風船くださいな」

ペンギンは黄色い風船を、キリンの角に結んであげました。

次にゾウがやってきて、

「青い風船くださいな」

ペンギンが青い風船を渡すと鼻で受け取りました。

つぎにやってきたのはフラミンゴ。

「桃色風船くださいな」

ペンギンが桃色の風船を渡すと、くちばしで受け取りました。

今度はアルパカがやってきて、

「白い風船くださいな」

ペンギンは白い風船をしっぽに結んであげました。

さらにヘビがやってきて、

「むらさき風船くださいな」

ペンギンは紫の風船を、ヘビの体に結んであげました。

最後にやってきたのは、青虫です。

「緑に風船くださいな」

ペンギンが青虫に風船を渡すと、青虫は風船につかまったまま、どこかへ飛んで行ってしまいます。

風船が売り切れ、地上に戻ってきたペンギン。

風船とともに飛んで行った青虫。

でも、飛んでいる途中に青虫がさなぎになって・・・

『いいいろふうせんや』の素敵なところ

  • 色とりどりの風船とそれを買う動物のぴったり感
  • 風船を渡すたび下がっていくペンギンの高度
  • 風船がなくなってしまったけれど・・・

色とりどりの風船とそれを買う動物のぴったり感

この絵本のとても楽しいところは、風船の魅力的な色でしょう。

きれいな風船を見ただけで、

「あおい風船がある!」

「私の好きなピンク~」

「緑もあるね!ハヤブサの緑!」

と、すでに大喜び。

色とりどりの風船というだけで、すでに楽しいのです。

もちろん、それだけでは終わらずに、これからその風船を売っていきます。

ここで買いに来るのが動物たちであることに、またまた大喜び。

「キリンさんだ!」

「ゾウさんも来た!」

と、ここでももちろん大盛り上がりです。

ただ、この絵本の一番おもしろいところは、その風船と動物の色がぴったり一致する気持ちよさ。

キリンは黄色の風船を、ゾウは青の風船を・・・

というように、自分の体とぴったり同じ色の風船をもらいます。

この時の、ペンギンの手から風船が渡り、風船と動物が一緒になった時のぴったり感がたまらない。

「黄色いっしょだ!」

「ゾウさんも青だね~」

と、一緒になったことがとても嬉しそう。

それと同時に、色と動物が対応していることがわかってくると、次に出てくる動物を予想する遊びも出てきます。

この、色と動物という、それぞれだけでも盛り上がる要素が、ぴったりとくっつくおもしろさと気持ちよさが、この絵本のとても素敵なところです。

風船を渡すたび下がっていくペンギンの高度

そんな風船屋さんですが、実は風船を渡すにつれ高度が少しずつ落ちていきます。

これに気付く子は少ないですが、気付くとものすごく気になる要素。

色や動物そっちのけで、風船を渡した後の高度が気になってしまいます。

「あ!ちょっと落ちてるよ!」

「もうすぐ地面に着いちゃいそう!」

と、高度の下がり具合をとてもよく見ています。

そして最後は「あ~足がついちゃった・・・」と、少し残念そう。

この、あまり気付かないけれど、気付くとものすごくおもしろい、風船の数によるペンギンの高度の変化も、この絵本のおもしろいところです。

これに気付くと、ペンギンが風船で浮いているというふわふわ感をより感じることができて、この絵本がもっと楽しくなること間違いなしな要素です。

最初は気付かなかったけれど、繰り返し見るうち気づいたり、月日が経ってもう一度見た時に気付くなどという、子どもの変化もおもしろいですよね。

風船がなくなってしまったけれど・・・

さて、こうしてたくさんあった風船も、どんどん売れて最後の一つに。

その一つも青虫に売り、風船はなくなってしまいます。

でも、ここで「売り切れです」とおしまいにならないのが、この絵本の楽しいところ。

風船にくっついて飛んでいった青虫が変化を遂げて、おもしろい行動を起こすのです。

これにより、間接的に風船の入手法がわかるのがおもしろい。

そして、風船がまた手に入ったことで、最初ページへのループが起こります。

この売り切れた後の最後の場面から、最初の場面へとループする作りになっているのもまた、この絵本のとてもおもしろく、繰り返し読みたくなるところです。

ぜひ、青虫の素敵な変化と、そこから起こる驚きの結末を見てみてください。

二言まとめ

色とりどりの風船と、色々な動物たちという、楽しい2つの要素でとても盛り上がる。

さらにその2つが、色を通してぴったりくっつくのがとても楽しく気持ちいい、思わず色の名前を言いたくなる絵本です。

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