作:たむらしげる 出版:福音館書店
むしくんが見つけた、ぜんまいで動くおもちゃのバス。
さっそく、ねじを巻き走っていくとお客さんが次々乗ってきました。
乗車料はねじを巻くこと。
さあ、ねじまきバスが発車します!
あらすじ
むしくんが、ぜんまいで動くおもちゃのバスを見つけました。
さっそく、ねじを巻くき、バスに乗り込み出発します。
バスが走っていくと、前からテントウムシとバッタがやってきました。
バスに乗せてと言う2人。
むしくんは、2人にねじを巻いてもらう代わりに乗せてあげることにしました。
また、バスが走っていくと、前からモグラとカエルがやってきました。
2人も乗りたいと言いますが、バスより体の大きな2人。
乗れるか心配ですが、ひとまずねじを巻いてもらうことに。
ねじを巻き終わり、バスに乗り込むと、なんとか入ることができました。
走り出したバスは、池に差し掛かります。
倒木の橋を渡っていくと、さあ大変。
橋が途中で壊れているではありませんか。
そこで、カエルがバスから足を出してジャンプ。
なんとか、池を越えることができました。
池の先にあったのはトンネル。
さっそく中を走っていきますが、その奥は行き止まりになっていました。
それを見て、今度はモグラがバスから手足を出します。
そして、どんどん土を掘り、トンネルを作ってくれました。
しばらく掘り進んでいくと、大きな穴にに出てきたバス。
そこはクマの巣穴で、大きな1頭の寝ているクマが・・・。
そのクマがライトの光で目を覚ますやいなや、バスに乗せてくれと言いだしたから大変です。
どう見ても乗るのは無理。
ですが、クマは無理やり乗り込んできました。
そして・・・奇跡的に乗ることができました。
ただ、車体はパンパンで、変な音もしています。
なんとか、進んでいくバス。
けれど、トンネルを抜けたところで・・・。
どう見ても定員オーバーのねじまきバスは、いったいどうなってしまうのでしょう?
『ねじまきバス』の素敵なところ
- おもちゃのバスでの楽しい旅路
- どんどん大きくなるお客さん
- みんな嬉しい最後の工夫
おもちゃのバスでの楽しい旅路
この絵本のとてもおもしろいところは、おもちゃのバスが本当のバスのように走り出すところでしょう。
いろんな子の家にあるおもちゃのバス。
日々、そのバスが本当に走っていたり、そこに自分が乗っていることをイメージしながら遊んでいることでしょう。
そんな夢を、この絵本ではむしくんが代わりに叶えてくれるのです。
ねじを巻き乗り込むと、本物のバスのように走り出すねじまきバス。
このシチュエーションにテンションがあがらないはずありません。
「バス、走ったよ!」
「はやーい!」
と、子どもたちも大喜びです。
これだけですでにおもしろい。
ですが、もちろんそれだけではありません。
バスと言えばお客さん。
この絵本でも、しっかりお客さんを乗せていきますが、その乗車料はねじを巻くこと。
なんとも、おもちゃのバスらしいおもしろいものになっています。
そんなおもちゃ感のしっかりあるバスですが、走っていく旅路はおもちゃらしくない刺激的なことばかり。
壊れた橋を飛び越えたり、トンネルの中を掘り進んだりと、どれもワクワクするものとなっているのです。
子どもたちも、
「落ちちゃうよ!」
「止まってー!」
「ジャンプした!!!」
と、ハラハラドキドキが止まらずに、大盛り上がり。
その旅路をとても楽しそうに見て、一緒に乗り越えているようでした。
この、とてもおもちゃらしいねじまきバスの、まったくおもちゃらしくないエキサイティングな旅路が、この絵本のとてもワクワクドキドキする素敵で楽しいところです。
どんどん大きくなるお客さん
こうして、どんどん進んでいくねじまきバスですが、それに合わせてお客さんもどんどん乗ってきます。
このお客さんが、どんどん大きくなっていくのも、この絵本のとてもおもしろいところです。
最初はテントウムシとバッタという、ねじまきバスにぴったりなお客さん。
ちょうどいい乗り具合で、
「お客さん来たね!」
「虫さん乗れたよ!」
と、普通に喜ぶ子どもたち。
でも、次のお客さんである、モグラとカエルはどう見ても入らないサイズ感。
だって、1人でほぼバスと同じ大きさなのですから。
「大きすぎるよ!」
「入らないよ!」
「バス壊れちゃう・・・」
と、子どもたちも、むしくんの「の、のれるかなあ?」の声と同じ気持ちで見守ります。
案の定、乗り込み方がかなり無理やりで、さらにハラハラドキドキします。
でも、意外とすんなり収まってびっくり。
「入れた!?」
「乗れたよ!」
「壊れちゃうかと思った・・・」
と、ねじまきバスの隠された容量の大きさに度肝を抜かれていました。
ですが、これだけでは終わりません。
最後にクマが待っているのです。
このクマの大きさは、どう考えても無理。
だって、クマの足だけでねじまきバスとほぼ同じ大きさなのですから。
もちろん子どもたちも、
「絶対無理!」
「大きすぎるよ!」
「入らないってば!」
と、これには微塵の疑いもなくNO。
でも、入ってくるクマ。
そして奇跡的に乗れるという驚くべき展開。
この、お客さんが来るたびにどんどん大きくなっていくおもしろさと、それがなんだかんだ乗れてしまう不思議すぎる現象への驚きがたまらなく楽しいのも、この絵本のおおいに盛り上がるところです。
みんな嬉しい最後の工夫
さて、そんなクマが乗ったバスですが、もちろんただではすみません。
ひびが入り、形が変形し・・・と、見るからに限界寸前なねじまきバス。
そして・・・。
もうこれは予想通りの展開でしょう。
もちろん子どもたちも、
「あーあ・・・」
「やっぱり・・・」
と、ものすごく納得な結末。
でも、ここで終わらないのが、この絵本のおもしろいところ。
みんなで力を合わせ、あることをします。
これには力持ちのクマが大活躍。
こうして完成したものが、むしくんにも、これまで乗ってきたお客さんみんなにも、とても嬉しいものになっています。
この、終わりだと思ったところからの、みんなが嬉しい次に進むための工夫も、この絵本のとても素敵で優しいところとなっています。
ぜひ、ねじまきバスの新たな姿を見てみてください。
二言まとめ
おもちゃのバスに乗って旅をするという、夢のようなシチュエーションを楽しめる。
大きめのお客さんが乗り込むたび、バスにピンチが訪れるたび、ハラハラドキドキ盛り上がりっぱなしのバス絵本です。
コメント