文:すとうあさえ 絵:おおいじゅんこ 出版:ほるぷ出版
七夕の日、ウサギの子が友だちの願い事を聞きに行きます。
ネズミ・クマ・カエルとみんな個性豊かな願い事を教えてくれました。
みんなで笹飾りを作っていると、ウサギの子の願い事はなんなのか聞かれます。
ウサギの子のお願いは・・・?
あらすじ
七夕の日、ウサギの子うーちゃんは、お母さんと笹飾りを作っていました。「みんなの願いが星に届くように」と笹飾りを作っているお母さんを見て、うーちゃんは友だちのお願いがなんなのか気になります。そこで、うーちゃんは友だちに願い事を聞いてみることにしたのでした。
最初に行ったのは、ネズミのちゅーくんの家。ちゅーくんに願い事を聞いてみると、大好きなチーズの家に住むことだと教えてくれました。そして、星にお願いするため一緒に行くことになりました。
うーちゃんとちゅーくんは、クマのまっくんの家へ行きました。まっくんに願い事を聞いてみると、鳥のように大空を飛ぶことだと教えてくれます。そして、まっくんも星にお願いするため一緒に行くことになりました。
うーちゃんとちゅーくんとまっくんは、カエルのけろろちゃんの家に行きました。けろろちゃんの願い事を聞いてみると、虹色のカエルになることだと教えてくれました。そして、けろろちゃんも星にお願いするため一緒に行くことになりました。
みんなでうーちゃんの家に行くと、お願いを絵に描いて笹に吊るしました。すると、ちゅーくんがまだ願い事を描いているうーちゃんに願い事を聞いてみます。うーちゃんの願い事は「いつまでもみんなといられますように!」。描いた絵にはみんなで手を繋ぐ姿が描かれていました。
うーちゃんの願い事を見たみんなは、「もう叶ってるよ」と言ってくれ、うーちゃんの描いた絵のようにみんなで手を繋いだのでした。

おしまい!
『みんなのおねがい』の素敵なところ
- 次々出てくる身近な生き物たちの個性豊かな願い事
- うーちゃんのみんな嬉しくなってしまう願い事
- うーちゃんの願いが叶うところを見て自分も願い事を吊るしたくなる
次々出てくる身近な生き物たちの個性豊かな願い事
この絵本のまず盛り上がるところは、次々に身近な生き物が出てきて願い事を教えてくれる繰り返しです。
うーちゃんの友だちは、ネズミ・クマ・カエルとみんな子どもたちに身近な生き物ばかり。出てくるたびに、

チューチュー!



クマさんだよ!
と、子どもたちも嬉しそうに名前を言ったり指差ししたりと大盛りあがり。やっぱり、生き物たちが次々出てくる展開は子どもたちを夢中にしてしまいます。
さらに、生き物たちは登場するだけでなく、それぞれの願い事も教えてくれます。この願い事がどれも個性的で意外なのも、この絵本のとてもおもしろいところとなっているのです。
ネズミであればチーズで出来た家という、なんともスケールの大きい願い事。



全部チーズで出来てる!



でも、食べたらおうちなくなっちゃうよ
とヘンゼルとグレーテルのお菓子の家を見たときのような反応をしていました。
クマであれば、まさかの空を飛びたいという願い事と、体が大きくて重そうなクマというギャップが合わさって、みんなビックリ。



飛べたら楽しいよね!



落ちないかな~
と応援したり心配したり、意外性を楽しんでいるようでした。
カエルになると、虹色の体というこれまた予想外の願い事と、みんなの願い事に驚かされっぱなしの子どもたち。身近な動物たちという安心感と、予想外の願い事という驚きの絶妙なバランスがなんとも楽しい作りとなっているのです。
この、身近な生き物たちが次々出てきて、予想外な願い事を教えてくれる繰り返しの楽しさに、一瞬で子どもたちを夢中にさせてしまうところが、この絵本のとてもおもしろいところです。
うーちゃんのみんな嬉しくなってしまう願い事
みんなの願い事を聞いていったうーちゃんですが、うーちゃん自身の願い事は中々明かされることがありません。そんなうーちゃんの願い事が明かされるのは最後の場面。みんなで願い事の絵を描いているときのことです。ちゅーくんがうーちゃんに聞いたことで、うーちゃんの願い事が明かされます。
この、うーちゃんの願い事がなんともほっこりする温かなものになっているのも、この絵本のとても素敵なところとなっています。
うーちゃんの願い事は友だちみんなとずっと一緒にいられること。絵に描かれた友だちとの姿からもみんなのことを大切に思っているのが伝わってきます。そんなうーちゃんのみんなを思う気持ちが伝わり、みんなで手を繋ぐというなんとも安心感と心地よさを感じる場面で終わるのです。
しかも、みんなで手を繋いだ姿は、うーちゃんが絵に描いた願い事とまったく同じ構図。子どもたちも、



うーちゃんの絵と一緒だ!
と大喜びです。みんなの言った「お願い、もう叶ってるよ」という言葉も相まって、まさに笹に吊るした願いが叶うという七夕の楽しいところが実感できるようになっています。
この、うーちゃんの心温まる願い事にほっこりしつつ、目の前でうーちゃんが描いた願い事の絵そのままに叶ってしまうところも、この絵本のとても嬉しさや心地よさを感じられるところです。
うーちゃんの願いが叶うところを見て自分も願い事を吊るしたくなる
うーちゃんの願いが叶う姿や、みんなの夢いっぱいな願い事が絵になって短冊に飾られる様子を見ていたら、自分の願い事も笹に吊るして叶えてもらいたくなってくるというもの。自然と七夕へ参加したくなってきます。この、見た後に自然と七夕への興味が高まるのも、この絵本のとても素敵なところです。
絵本に出てくるみんなの願い事を見ながら、自分はどんな願い事をしようか考えます。短冊にして吊るすのももちろんいいですが、この絵本のように描いた絵を吊るすのも素敵ですよね。小さい子であるほど自分の描いた絵が笹に吊るされていることで愛着が湧くはずです。
見るたびに、



あれ、ぼくの!



見て!私の!
という声がたくさん聞こえてくることでしょう。
ぜひ、この絵本を見終わった後、子どもたちと願い事を笹に吊るしてみてください。もっともっと七夕が楽しくなること間違いなしですよ。
二言まとめ
身近な生き物たちが次々出てきて個性豊かな願い事を教えてくれる繰り返しに、楽しくて目を離せない。
うーちゃんのなんともほっこりする願い事が目の前で叶う様子を見て、自分も願い事を笹に吊るしたくなる絵本です。
コメント