はこぶ(4歳~)

絵本

文:佐々木幹郎 絵:いわむらかずお 出版:復刊ドットコム

「はこぶ」と一言で言ってもその意味は様々。

何を運ぶ?どうやって運ぶ?誰が運ぶ?

そんな「はこぶ」の意味と、運び方の移り変わりがわかる絵本です。

あらすじ

風や波は命を運ぶ。

虫は食べ物を運ぶ。

獣は子どもたちを運ぶ。

鳥はなんでも運ぶ。

人は色々なものを運ぶ。

人は動物を使ったり、車輪を使ったりして運ぶ。

船を使って水の上で運ぶ。

飛行機を使って空の上でも運ぶ。

人が人を運んだりもする。

道には自然に出来た獣道と、運ぶために作った人工的な道がある。

水にも道があり、雨がダムから川、水道管を通って家に届く。

汚れた水は下水処理場へ行き、綺麗になって海へ。

そして蒸発し雨になる。

体の中にも血液が通る道がある。

空気や水は病気も運ぶ。

小さなものから、大きなものまで運ぶ。

言葉は心を運ぶ。

言葉は文字や電波が発明されて遠くまで届くようになった。

映像は言葉で伝わらないものを伝えてくれる。

運ぶ仕事の人もいる。

祭りの神輿では神様を運ぶ。

地球は太陽の周りを回りながら、みんなを運んでいる。

どこへ運んでくれるのだろう。

『はこぶ』の素敵なところ

  • 「はこぶ」という言葉の色々な意味に気付かせてくれる
  • たくさんの運んでいる絵を見ているだけでも楽しい。
  • 発明の歴史を知ることが出来る

「はこぶ」と一言で言っても、運ぶものも運び方も様々です。

自分で運ぶ、道具を使って運ぶ、道を使って運ぶ。

この絵本のおもしろいところは、物を運ぶだけにとどまらないところです。

水道水は運ばれてくること。

血は体の中を運ばれ続けていること。

言葉は心を運んでいること。

などなど、普段「はこぶ」だと思っていないことへも目を向けさせてくれ、言葉の面白さや多様性にも気づかせてくれます。

また、この絵本はたくさんの絵で構成されていて、それを見ているだけでも楽しめます。

どんな虫が、何を運んでいるか。

どんな鳥が、何をくわえているか。

たくさんの人が、なにを運んでいるか・・・。

その中にはユーモラスなものがこっそり紛れ込んでいたりします。

動物を使って運ぶところにサンタクロースがいたり、空を飛んで運ぶところに魔法じゅうたんがいたり。

図鑑のようにじっくりと見るのも楽しい絵本なのです。

そして「はこぶ」の移り変わりが見られるのもおもしろいところです。

車輪も、船も、飛行機も、原始時代のものから、段々と現代のものへ。

今は当たり前の乗り物も、昔の人はこんなものに乗っていたのかと驚かされます。

今の「はこぶ」は当たり前のものではないことに気付かせてくれます。

「はこぶ」という言葉だけではなく、その歴史や言葉の多様性にも気づかせてくれる科学絵本です。

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