ついてくる(3歳~)

絵本

作:小川育 出版:教育画劇

暗がりの帰り道。

心に恐れがあると、何かがついて来ている気がする。

どんな音も、なにかの足音に聞こえる。

そんな気持ちを思い起こさせてくれるホラー絵本です。

あらすじ

遊びに夢中になってしまった男の子。

気付くと辺りは暗くなっていた。

公園から、家へ帰る道。

何かがついて来ている気がする。

「ひた ひた ひた」

野良猫だった。

また何かがついて来ている。

「かさ かさ かさ」

なんだ、ビニール袋か。

「くわ くわ くわ」

「ぴち ぴち ぴち」

「ぼう ぼう ぼう」

その後も、色々な音がついてくる中、家路を急ぐ。

男の子は無事家に帰りつけるのでしょうか。

『ついてくる』の素敵なところ

  • 本当に暗がりの帰り道を歩いているような情景
  • ほっとしつつも不安を残す繰り返し
  • まさかの最後

この絵本の素敵なところは、帰りが遅くなり、暗くなった道を一人で帰る心細さを体験できることです。

その気分を醸し出してくれるのが、リアルに描かれた一人称視点の情景です。

並木道、草むら、トンネル、お墓の横・・・。

といった場所を歩くのですが、どれも薄暗がりでどこかさびれています。

まるで、ヒグラシの声でも聞こえてきそうな雰囲気。

本当に歩いて帰っている気分になります。

その中で、ついてくる色々な音。

その正体がわかるとほっとするのですが、その絵もどこか不気味で安心できません。

常に、「今度は本物では・・・」と不安な気持ちを持ち続けます。

そこからの最後の場面は衝撃的。

すべてを根本からひっくり返すものでした。

不安と心細さを全身で楽しめる。

そんな一人称視点のホラー絵本です。

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