おじいちゃん(5歳~)

絵本

作・絵:梅田俊作 梅田佳子 出版:ポプラ社

たくさん遊んでくれて、大好きなおじいちゃん。

でも、いつかは自分より先に亡くなります。

その喪失感が痛いほどに伝わる、とても温かい絵本です。

あらすじ

おじいちゃんが死んだ。

おじいちゃんの部屋はそのままなのに、おじいちゃんはもういない。

男の子と犬のタロはぼんやりしたままで、散歩に行くことにした。

おじいちゃんのマフラーでタロを包み、宅配便ごっこをした荷車に乗せた。

町を歩くと、おじいちゃんとの思い出が色々なところにあった。

おじいちゃんの植えたチューリップ。

おじいちゃんが背中を押してくれたブランコ。

おじいちゃんが植えた桜の木。

おじいちゃんと通った海。

男の子とタロは千年イチョウの森へたどり着いた。

ここもおじいちゃんとたくさん遊んだ場所だった。

「もういいかーい」

どこかで声がした。

タロが耳をそばだてていると、雨が降り出した。

男の子とタロは千年イチョウで雨宿りした。

そこでおじいちゃんから聞いた、千年イチョウの昔話を思い出した・・・。

『おじいちゃん』の素敵なところ

  • 子どもの目線で描かれる死の喪失感がとてもリアル
  • 同時にたくさんのことを残してくれていることにも気づく
  • おじいちゃんに会いたくなる

なにも変わらないのに、おじいちゃんだけがいない。

そんな現実感はないのに、確実にある喪失感。

それが子どもの目線と、子どもの言葉で純粋にリアルに描かれています。

悲しいとも、寂しいとも違う感覚。

死ぬってどういうことなのかを、痛感させられます。

でも、散歩に出かけ町を歩いてみると、おじいちゃんの生きた証が色々なところで見つかります。

形として遺したもの。

人の心に遺したもの。

自分の中の思い出。

それらと向き合う中で、おじいちゃんの死を実感していきます。

最後の場面では、本当の意味でおじいちゃんの死を受け入れたのかもしれません。

この絵本を読むと、おじいちゃんに会いたくなります。

優しくて、たくさん遊んでくれたおじいちゃん。

でも、自分よりも先にいなくなってしまうおじいちゃん。

そんなおじいちゃんの死を心情豊かに描いた絵本です。

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