おぶさりてい(4歳~)

絵本

文:川村たかし 画:関屋敏隆 出版:教育画劇

山から聞こえる謎の声。

「おぶさりたい・・・、だかさりたい・・・」

その正体をめぐる3兄弟の少し不気味な昔話です。

あらすじ

昔、山奥の村に太郎、次郎、三郎という力自慢の兄弟が住んでいた。

ある日のこと、太郎が用事で出かけた帰り、峠で日が暮れてしまった。

この峠には光るオバケが出るという。

太郎は恐る恐る峠を越えたが何も出なかった。

と、思った時、峠のてっぺんがピカピカと光、その光が「ガッチャガッチャ」と音を立てて近づいてくる。

さらには「おぶさりたいよう、だかさりたいなあ」という気味の悪い声まで聞こえてきた。

太郎は一目散に逃げかえって、家の布団に潜り込んだ。

太郎から峠のオバケの話を聞いて、今度は次郎が峠に行ってみることにした。

光を見つけた次郎は木の棒を握りしめ、その光に近づいた。

すると、オバケはやっぱり近づいて来て、

「おぶさりたいよう、だかさりたーい」

と、目の前に迫ってきた。

次郎も怖くなって、逃げ出し布団に潜り込んだ。

今度はのんびり屋の三郎が次郎から話を聞いて、峠に行ってみることにした。

三郎はおんぶするための背負いひもを持って、峠に出かけて行った。

三郎が峠を登っていくと、やはり光るオバケが近づいてきた。

三郎はそのオバケに「おんぶしてやる」と言うと、オバケは三郎の背中におぶさった。

三郎はオバケをおぶったまま峠を降りていく。

オバケをおぶった三郎はどうなってしまうのでしょうか。

光るオバケの正体とは・・・。

『おぶさりてい』の素敵なところ

  • 怪談話ならではの不気味な空気感
  • それぞれ個性的な三兄弟
  • 三郎とオバケの手に汗握る駆け引き

この絵本は全体を通して、怪談話の古典的な怖がらせ方がふんだんに使われています。

ホッとした頃に出てくるオバケ。

音を立ててゆっくりと近づいてくる。

そして不気味な声。

「で、でたあ!」と逃げる人。

まさに古典的ですが、だからこそゆっくりじっくりとした怖さがあります。

そんなオバケに立ち向かうのは三人の兄弟です。

三人とも力自慢ですが、性格は全然違います。

臆病者の太郎。

せっかちで見栄っ張りの次郎。

のんびり屋だけど肝の座った三郎。

これらの性格が物語の中にもよく表れていて、物語を盛り上げ、怖さを引き立たせ、愛着を持たせてくれるのです。

さて、その中で実際にオバケとやり取りするのは三郎です。

その駆け引きは手に汗握るもの。

「どうなるんだろう?」「三郎大丈夫かな?」と子どもたちから心配の声や応援の声も上がります。

そして、ついに決着!

そこには意外なオバケの正体が待っていました。

古典的だからこそのドキドキ感を味わえる。

とても読みやすい昔話の絵本です。

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