文:トム・マックレイ 絵:エレナ・オドリオゾーラ 訳:青山南 出版:光村教育図書
言葉があれば、その反対言葉も存在します。
押すの反対は引く、伸びるの反対は縮むのように。
そんな反対言葉がオバケになって憑りついたらどうなってしまうでしょう。
やることなすこと、全て反対になってしまいます・・・。
あらすじ
ある日のことです。
男の子、ネイトが目を覚ますと、天井に逆さまに立っているハンタイおばけが見下ろしていました。
「降りておいで」と言いましたが、ハンタイおばけは反対のことしかしないので、降りてはきません。
ネイトはパパを読んで来て、ハンタイおばけがいると天井を指さしました。
しかし、反対になるので、指をさしたところにはハンタイおばけはいませんでした。
ネイトは朝ごはんを食べに台所に行きました。
ママがコーンフレークをボウルに入れてくれたので、ネイトはミルクを注ぎました。
ところが、ハンタイおばけが現れたので、ミルクは上に飛び上がり、天井に広がりました。
ネイトはママに怒られてしまいました。
ネイトは学校に行きました。
その日は好きな動物の絵を描くことになりました。
でも、ハンタイおばけがいます。
絵の具は画用紙に行かず、天井や壁、それから先生の方に飛んでいき、絵の具だらけになってしまいました。
なんでも反対になってうまくいかないネイト。
しかし、ネイトはいいことを思いつきました。
この思いつきで、ハンタイおばけに対抗できるのでしょうか。
『ハンタイおばけ』の素敵なところ
- 反対言葉遊びの魅力や不思議さが詰まっている
- 腹が立つけど憎めないハンタイおばけ
- この絵本ならではの解決策と最後
この絵本には反対言葉遊びの楽しさや、言葉の持つ不思議さが詰まっています。
いつもはただの言葉遊びですが、それが現実になるとなかなか大変。
そんな風に子どもたちのイメージを広げてくれます。
言葉遊びを始めた子には、たくさんの発見をさせてくれるでしょう。
そんな反対言葉の塊ハンタイおばけ。
これが中々イタズラ好きで、人を子バカにした態度に腹が立ちます。
ネイトが失敗するとニヤニヤ笑い。
言いつけるといなくなる。
もうどうしようもありません。
でも、なんだか憎めないのが不思議なところ。
どこか愛嬌があり、その不思議な世界を体験させてくれる存在でもある。
これはネイトも同じだったみたいで、それは最後の場面に現れています。
そんなネイトがハンタイおばけに対抗するのはもちろん反対言葉です。
さらなる反対言葉の使い方を思いつくネイト。
子どもたちの視野や発想をさらに一段階広げてくれます。
ハンタイおばけのイタズラも、それに対抗するのも全部反対言葉。
言葉を「使う」という表現がピッタリの絵本です。
コメント