しっぺいたろう(4歳~)

絵本

文:香山美子 画:太田大八 出版:教育画劇

変わった響きの「しっぺいたろう」。

化け物どもの恐れる名前「しっぺいたろう」。

「しっぺいたろう」とはいったいどこの誰なのでしょう?

あらすじ

旅の坊さんが、ある村にやってきました。

しかし、村人はなにやらうつむいています。

坊さんが村人に聞いてみると、「毎年、村の娘を一人、神様に捧げなければならない」という。

その話に疑問を持った坊さんは、山の社に行ってみることにしました。

坊さんが隠れて様子を見ていると、木の上から大きな化け物が3匹降ってきました。

地面に降りると化け物は、あたりを見回しながら言いました。

「しっぺいたろうはおるまいな。おるまいな。」と。

そして、いないのを確認すると、化け物たちは踊り始めました。

坊さんはしっぺいたろうを探してみることにしました。

坊さんは生贄の娘の家へ行き、自分が戻るまで待つように言うと、しっぺいたろうを探しに出かけました。

でも、一向に見つかりません。

疲れてうとうと眠ってしまった時、「しっぺいたろう」と誰かが遠くで呼ぶ声が聞こえました。

はっと目を覚ましてみると、目の前には大きな白い犬がいました。

「しっぺいたろう」と呼ばれていたのはその大きな犬だったのです。

坊さんは飼い主のじいさまに訳を話すと、喜んでしっぺいたろうを貸してくれました。

さて、村の方では坊さんが帰らぬうちに、生贄をささげる時間となってしまいました。

娘は白装束を着て、支度を済ませました。

おとうとおかあは泣いています。

果たして、坊さんとしっぺいたろうは間に合うのでしょうか。

『しっぺいたろう』の素敵なところ

  • 謎の名前「しっぺいたろう」
  • 見つかるか?間に合うか?とハラハラの連続
  • 疾走感ある最後の戦い

この絵本はタイトルを見た時に、まず疑問が浮かぶでしょう。

「しっぺいたろうってなに?」と。

それがこの物語の中核です。

化け物がしっぺいたろうを警戒する姿を見て、ますます「しっぺいたろうって誰なんだろう?」という興味と疑問が大きくなっていきます。

でも、中々見つかりません。

そして、興味が膨らみ切った時に聞こえてきたしっぺいたろうを呼ぶ声。

そこに現れたのはまさかの犬でした。

「え!?犬だったの!?」と子どもたちの驚く顔。

まさにこの物語の思惑通りの反応でしょう。

この絵本には、

「誰なんだろう?」

「見つかるかな?」

「間に合うかな?」

といった、ワクワクドキドキな焦らし効果がふんだんに使われています。

そのため、みんな先が気になって、見る姿勢も前のめり。

そんなドキドキワクワクを一気に解決する最後の場面。

しっぺいたろうと化け物が戦う場面は、物凄い疾走感とともに描かれます。

その坊さんとしっぺいたろうのかっこいいこと。

その姿に戦いが終わることには、しっぺいたろうの虜になってしまっています。

「しっぺいたろうかっこよかったね!」

と興奮気味の子どもたちです。

「しっぱいたろう」という、謎の名前を中心としたミステリーな昔話です。

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