作:モーリス・センダック 訳:じんぐうてるお 出版:冨山房出版
角や牙が生えた怖い怪獣。
でも、そんな怪獣と仲良くなったり遊んだら、とっても楽しいんじゃないだろうか。
そんな思いを叶えてくれるこの絵本。
まるで本当に冒険しているような気持ちにさせてくれます。
だけど、読んでいると子どもが落ち着き、リラックスしていく空気感も持つ不思議な本でもあります。
あらすじ
いたずらばかりの主人公マックスがお母さんに怒られて、夕ご飯抜きで寝室に放り込まれます。
すると木が生えて、森になり、波が打ち寄せ、そこに船を運んできます。
その船に乗り込み航海するとたどり着いたのは「かいじゅうたちのいるところ」。
そこでマックスは怪獣たちの王様になってしまいます。
怪獣たちとのやり取りや、優しくほっとする最後をぜひ読んでみてください。
怪獣の話なのにどこか物静かな『かいじゅうたちのいるところ』
- 不気味な中に温かみのある独特な絵
- 冒険感がある中で全体に漂う穏やかな空気感
- 文字のないページの余白感
怪獣のデザインや細部まで描き込まれた絵によって、実際にいたら逃げ出すこと間違いなしの怪獣たち。
でも、マックスとのやり取りの中でとっても愛くるしく見えてきます。
そして、怪獣がいるとは思えないほどの穏やかな夜空と夜の森。
その空気感が全体に広がっていて、マックスがいたずらをして怒られても、怪獣たちが吠え立てても、この絵本の中には物静かで穏やかな空気が流れ続けているから不思議です。
また、怪獣踊りをする場面があるのですが、そこには文章がありません。
それによりどの怪獣がどんな声を出しているか、どんな音楽が流れているのか、イメージが湧きたてられます。
きっと子どもの中では怪獣たちが動いて見えていることでしょう。
おすすめの読み方
- 常に落ち着いた調子で
- 一定のペースで読んでいく
- 怖いところは軽く声色を変えていく
絵本の空気感に合わせて一定のペース、落ち着いた子どもがリラックス出来るような声を意識していきましょう。
怪獣が「うおー」と吠えたり「歯をガチガチならし」たりするところは少し声色を変えますが、この絵本はやり過ぎない方が子どもが入り込みやすいと思います。
そして文章のないところでは、ページを見る時間を長めにとって、子どもたちの会話や言葉に耳を傾けやり取りをしつつページをめくっていきましょう。
最後は語りすぎずに終わることで空気感を壊さず余韻に浸るのがおすすめです。
怖い怪獣がたくさん出てくるのに落ち着いてリラックスできるこの絵本。
ぜひ自分の読み方を編み出してみてください。
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