作:トレーシー・コーデュロイ 絵:ティム・ワーンズ 訳:三辺律子 出版:ブロンズ新社
イヤイヤ期ならではの言葉。
「いやっ!」「やーだーよ!」
耳にタコができるくらい聞く言葉だと思います。
そんな「いやっ!」を、思う存分言える絵本です。
あらすじ
サイの子どもアーチ―はみんなに「かわいいね」と言われます。
ところがある日、アーチ―は新しい言葉を覚えました。
それは・・・。
「いやっ!」
アーチ―は新しい言葉が気に入り、どんどん使うことにしました。
ご飯も、お風呂も、寝る時も・・・。
「いやっ!」
保育園でも。
しかし、保育園での楽しい誘いにも「いやっ!」と言っていたアーチ―。
なんだか楽しくないことに気付いてきます。
それでも「いやっ!」と言い続けるアーチ―。
お迎えに来たお父さんに「だっこするかい?」と聞かれたとき、抱っこしてもらいたいアーチ―は、
「い、い、い・・・」
イヤイヤ期のアーチ―はどんな返事をするのでしょう。
『いやっ!』の素敵なところ
- まさにイヤイヤ期のアーチ―
- 「いやっ!」がリアル
- 少し見える「いやっ!」の先
この絵本のアーチ―はまさにイヤイヤ期。
その仕草や表情まで、イヤイヤ期の子を見ているようです。
「ぼくは一人前!」というような生意気な表情。
「話なんか聞きません」というような顔をそむける仕草。
きっと「やるやる」と思えるでしょう。
そんなアーチ―から出る「いやっ!」もとてもリアルです。
ご飯のお皿を押しのけながらの「いやっ!」
服を脱がされることに抵抗しながらの「いやっ!」
「いやだってばっ!」「いやだよぉ~!」「絶対にいや~っ!」といった「いやっ!」の活用術。
本当の子どもを見ているようです。
そして、リアルであるあるだからこそ、子どもも自分と重ね合わせます。
アーチ―の姿に自然と入り込めるのです。
そのアーチ―が少し「いやっ!」の先に進みます。
新しい言葉を覚えるのです。
これを見ている子は、きっとその言葉も使いたくなるでしょう。
そして、その言葉の楽しさにも気付くと思います。
読んでいる大人は、イヤイヤ期の先が少し見えて安心するかもしれません。
イヤイヤ期はみんな大変なんだなと共感するかもしれません。
大人も子どもも、リアルなイヤイヤ期を生きるアーチ―の姿に自分を重ね合わせ、その先へ一歩進んでみることが出来る絵本です。
コメント