ノルウェーの昔話 絵:マーシャ・ブラウン 訳:瀬田貞二 出版:福音館書店
一本道で、とてもかなわないような大きな怪物に道をふさがれたらどうするでしょう。
逃げるのか、戦うのか、説得するのか・・・。
そんなハラハラドキドキをわかりやすく、臨場感あふれる文章と絵で描いたのがこの絵本です。
ぜひトロルとやぎたちの掛け合いを楽しんでみてください。
あらすじ
あるところに小、中、大の三匹のやぎがいました。
みんな名前はがらがらどんと言いました。
3匹のやぎは山へ草を食べに行くところでした。
しかしその途中の谷川には橋があり、そこには気味の悪い大きなトロルが住んでいました。
一匹ずつ橋を渡ろうとしますが、そのたびに「だれだ!?」とやぎたちを食べようと出てきます。
やぎたちは無事に橋を渡って草場にたどり着けるのでしょうか。
『三びきのやぎのがらがらどん』の素敵なところ
- わかりやすい繰り返し
- 読み手も楽しい臨場感あふれるやり取り
- 勧善懲悪の物語
小さいやぎが来て、トロルが「だれだ!?」と驚かす。
中くらいのやぎが来て、トロルが「だれだ!?」とまた出てくる。
と、流れがイメージしやすくとってもわかりやすい作りになっているので、子どもたちが絵本の世界に集中しやすいです。
そしてトロルを演じるのがとっても楽しく、全力の悪者感が魅力的です。
これは子どもも思っているようで、やぎのセリフを言いたい派とトロルのセリフを言いたい派に別れます。
一度聞いたら忘れられない「だれだ!?俺の橋を・・・」「それならお前を食ってやろう」などのフレーズの数々はぜひ口に出して読んでほしいです。
また、昔話ならではの「めでたしめでたし」な勧善懲悪の物語も、繰り返しと相まってわかりやすく、様々な年齢層で楽しめます。
とても懐の深い素敵な絵本です。
『三びきのやぎのがらがらどん』のおすすめの読み方
- 小中大のやぎは、声の大きさや橋の鳴る音も小中大で読む
- トロルは全力で怖く、悪そうに
- ページをめくった瞬間の「だれだ!?」で子どもをビビらせる
小さなヤギは「かたことかたこと」と小さな音で渡ります。
中くらいのやぎは「かたんことんかたんことん」と中くらいの音でというように、声の大きさでもその違いを表現してよりわかりやすくしていきましょう。
そして、この絵本のキモはトロルの登場シーンです。
ページをめくった瞬間に「だれだ!?」と子どもをビビらせます。
これによりやり過ごした時のほっとする気持ちと、次にトロルが出てくるときのドキドキ感につながります。
また、絵本に興味が薄くふらふらしている子も、この「だれだ!?」から一気に惹きつけられ、最後まで目が離せなくなるなんてこともしばしば。
全力で泣かせる勢いでいきましょう。
そして大きなヤギはトロルに負けないぐらいの力強い声で戦わせていきましょう。
読んでいても聞いていても気持ちのいいこの絵本。
ぜひ自分の読み方を編み出してみてください。
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