作・絵:せなけいこ 出版:福音館書店
とても綺麗な箱。
取り合いになってしまうくらい綺麗な箱。
でも、その箱の中には・・・。
あらすじ
綺麗な箱が落ちていた。
それをネコちゃんとワンちゃんが同時に見つけた。
ネコちゃんとワンちゃんは綺麗な箱を取り合った。
ネコちゃんがワンちゃんを引っ掻いた。
ワンちゃんがネコちゃんに噛みついた。
すると、箱がすーっと開いて。
中からオバケが出てきて言った。
「けんかするのはだれだー!」
ネコちゃんとワンちゃんはどうなってしまうのでしょう。
『きれいなはこ』の素敵なところ
- 箱が開いた時の怖さ
- 引っ掻きや嚙みつきへのわかりやすい教訓
- 救いのない結末
この絵本の一番怖くてドキドキするけれど、誰もが待っている場面。
それは箱が開いて、オバケが顔を出すところだと思います。
大きい子も小さい子も、初めて見る子も何度も見ている子も。
箱がすーっと開く場面では、息を吞んで身構えます。
そしてオバケが出てくると「出たー!」「オバケ怖いよー!」とオバケを怖がったり盛り上がったり。
この場面を待っていたのが伝わってきます。
何度読んでも底知れない怖さと不気味さの薄れない場面だと思います。
さて、この絵本では引っ掻いたり、噛みついたりした子への教訓が詰まっています。
小さい子でもネコちゃんとワンちゃん、オバケを通して「引っ掻いたり、噛みついたりしてはいけない」と言うことと、「それは自分に返ってくる」ということが伝わります。
理屈で言うよりもよほどわかりやすく伝えられるでしょう。
さらにこの絵本の救いのない結末がそれを伝わりやすくしているのだと思います。
これ以上ないくらいわかりやすく、だからこそ救いのない結末です。
「引っ掻いたり、噛みついたりしてはいけないよ」というメッセージをストレートに伝えてくれる。
とっても怖いオバケ絵本です。
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