文:デヴ・ペティ 絵:マイク・ボルト 訳:こばやしけんたろう 出版:マイクロマガジン社
オタマジャクシは大きくなるとカエルになります。
じゃあ、カエルは大きくなったら何になるのでしょう。
カエルはカエル?
カエルだってなりたいものがあるのです。
あらすじ
ある日、カエルの子がお父さんに言った。
「俺、ネコになることにするや」
でも、お父さんはネコにはなれないと言う。
理由はカエルの子がカエルだから。
しかし、カエルの子はなんか濡れてるカエルが嫌だった。
そこで、ウサギになることにした。
でも、お父さんはウサギにもなれないと言う。
理由は長い耳がないからだ。
しかし、カエルの子はヌルヌルしているカエルが嫌だった。
そこで、ブタになることにした。
でも、お父さんはブタにもなれないと言う。
理由はブタのエサを食べられないから。
そこで、フクロウになることにした。
でも、お父さんはフクロウにもなれないと言う。
理由は翼がないし、物知りじゃないし、頭をくるくる回せないし、カエルだからだ。
しかし、カエルの子は虫ばかり食べるカエルが嫌だった。
そんな時、後ろから声が聞こえてきた。
その声は、カエルの子がなりたいものを聞くと、「いいことを教えてあげる」と言ってきた。
声の主は一体誰なのでしょう。
『オレ、カエルやめるや』の素敵なところ
- カエルにもなりたいものがあるという発想
- 次になりたいものと、ダメな理由が気になる繰り返し
- それぞれに苦労はあるから、自分は自分のままでいい
「オタマジャクシは大きくなるとカエルになる」というのはみんな知っていることでしょう。
だから、カエルが完成形だと思い込んでしまいます。
でも、カエルにだってみんなと同じように、将来の夢があるかもしれません。
そんな発想が詰ったこの絵本。
最初は子どもたちも「いや、なれないでしょ」と言っていますが、カエルの子の真剣な主張を聞いているうちに、カエルの子の味方になってきます。
自分の将来の夢と重ね合わせているのかもしれません。
カエルの子はなりたいものを次々にお父さんに言いますが、お父さんはどれにもなれないと言ってきます。
ご丁寧に理由もしっかり教えてくれます。
そのやり取りがこの絵本の醍醐味です。
なりたいものを言う→なれないと理由を言われる→カエルが嫌な理由を言う→次になりたいものを言う。
という繰り返し。
これによって、「次はなにになりたいんだろう?」「なんでなれないんだろう?」と次の展開へ期待が膨らみます。
さて、色々となりたいものを考えてきたカエルの子ですが、最後に他の生き物にも苦労があり、カエルはカエルなりのいいところがあることを知ります。
それは他の誰かにならずに、自分のままで大きくなればいいということを伝えてくれているのかもしれません。
カエルがなりたいものとい、発想の転換を通して、いいことや悪いことの多面性に気付かせてくれる絵本です。
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