作:えがしらみちこ 出版:白泉社
みんなに荷物を届ける宅配便。
呼び鈴を鳴らすと、「はーい」と誰か出てくるでしょう。
でも、動物への宅配便は少し違うみたい。
代わりに色々な鳴き声が聞こえてきます。
あらすじ
はるちゃんと子ブタちゃんが宅配便ごっこを始めました。
すると、ごっこ遊びだったのが、本当のトラックに早変わり。
宅配に出かけます。
最初にやってきたのは小さいおうち。
呼び鈴を鳴らすと「ちゅーちゅー」。
そこはネズミさんのおうちでした。
荷物の中身はチーズです。
次に来たのはのっぽのおうち。
呼び鈴を鳴らすと「ちゅんちゅん」。
そこはスズメさんのおうちでした。
荷物の中身はおにぎりです。
その後も、サルさんにカエルさんとどんどん荷物を届けていきます。
さて、最後にやってきたおうちは・・・。
『なきごえたくはいびん』の素敵なところ
- 家の形と鳴き声からの連想
- 宅配便ならではの呼び鈴と鳴き声の繰り返し
- 読むと宅配便ごっこがしたくなる
この絵本の楽しいところは、鳴き声から動物を連想する所だと思います。
でも、この絵本にはもう一つ連想の手がかりがあります。
それが家の形です。
ネズミさんの家は大きな耳がついていたり、カエルの家は池の中の蓮だったり。
鳴き声を聞く前に、家の形から連想して、さらに鳴き声を聞くという流れがとても面白いのです。
子どもたちも「鳥さんかな・・・。」と考えつつ、鳴き声を聞いて「スズメだ!」と確信したりと鳴き声だけの時よりも想像が膨らむみたいです。
そんな連想遊びは、宅配便ならではの繰り返しの中でわかりやすく展開していきます。
それが呼び鈴です。
ピンポーン→鳴き声→届ける
という繰り返しが、まさに宅配便屋さんになっているように感じさせてくれるのです。
自分が呼び鈴を押し、本当にドアが開く感覚でページがめくられ、動物が顔を出すのを見るような感覚で繰り返しが進んでいくのです。
宅配便ごっこから始まった、なきごえ宅配便。
最後に届ける相手も相まって、自分も宅配便ごっこをして、誰かに荷物やプレゼントを届けたくなってきます。
絵本を通して宅配便屋さんになりきり、それを実際の遊びでもやってみたくなる絵本です。
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