作:かとうまふみ 出版:アリス館
冬が迫ってくると、衣替えなど冬支度をすると思います。
それは動物たちも同じです。
食べ物を集めたり、寝床を作ったり。
そんな動物たちの冬支度を、リスと一緒にのぞいてみましょう。
あらすじ
女の子のまあちゃんは、お母さんと一緒に衣替えをしていました。
まあちゃんは出してきたマフラーをして、出かけることにしました。
まあちゃんは森で、どんぐり拾いをすることに。
どんぐりを拾っていると穴のあいている大きな木があります。
まあちゃんはそこに集めたどんぐりを入れておくことにしました。
ところが、次の日。
穴の中のどんぐりが無くなっていたのです。
まあちゃんがどんぐりを入れてこっそり見張っていると、そこに来たのはリスでした。
リスはどんぐりを口いっぱいに入れると、どこかに運んでいきます。
まあちゃんはどんぐりを集めて、リスを手伝うことに決めました。
それから毎日、まあちゃんはどんぐりを集めてあげました。
そんなある日、穴の中に落ち葉の手紙が入っていました。
そこにはお礼と、「今夜迎えに行く」と書いてあったのです。
その夜、まあちゃんが待っていると、窓をたたく音が。
そこにいたのはリスでした。
リスがまあちゃんの指を握ると、まあちゃんの体が軽くなり、気付くとリスの背に乗っているではありませんか。
リスはまあちゃんを乗せたまま、森へ向かい木を跳び移っていきます。
夜の森に着きました。
そこには冬支度をした動物たちが。
クマやアナグマ、ヤマネにヘビ、魚やカエル、モグラ、そして虫たちまで。
リスはそんな動物たちの冬支度の秘密を教えてくれました。
最後にどんぐりを集めた穴のある木に辿り着きました。
なんと、この木も冬支度をしていると言うのです。
木の冬支度とは一体どんなものなのでしょう。
『まあちゃんとりすのふゆじたく』の素敵なところ
- どんぐりを通して深まっていくリスとの繋がり
- 冬になると消える生き物たちの秘密がわかる
- 冬から春への繋がりを感じさせてくれる
この絵本は、まあちゃんとリスの出会いから始まります。
偶然、まあちゃんの集めたどんぐりを見つけたリス。
そのリスを見つけ、こっそり手伝ってあげるまあちゃん。
そんな、ひっそりとした繋がりが、手紙を通して大きく変化します。
さらにはリスの背中に乗ったり、話したり。
現実的からファンタジーへと、子どもが夢に見るような展開になっていきます。
だからこそ、リスの背中に乗った時「わあ」とみんな目を輝かせているのです。
さて、森に着くと、冬の生き物たちの秘密を教えてくれます。
それぞれの冬眠する場所や、土や木の中に潜る秘密など。
森に生きる生き物たちと話しながら教えてくれるので、とてもわかりやすいのです。
そして、最後の冬支度は、2人が出会った木の冬支度。
そこには、春へ繋がる秘密がありました。
冬になると枯れ木になり死んでしまったかのような木ですが、この秘密を知ると見え方が変わってきます。
直感的には終わりの季節に見えてしまう冬。
でも、それが春へと繋がる季節であることを感じさせてくれるのです。
冬支度を通して、春への繋がりを教えてくれる。
ファンタジーと科学が程よく融合した絵本です。
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