「褒める」ことと「認める」こと

雑記

お元気様です!

登る保育士ホイクライマーです。

今回は「褒める」ことと「認める」ことについてお話していこうと思います。

この「褒める」というのは「叱る」とともに、子育ての大きなテーマになることも多い問題です。

一昔前は「褒める子育て・保育」が、とても話題になったりもしました。

そこで、「褒める」と「認める」について、詳しく見ていきたいと思います。

ただ褒めることの危険性や、そのメカニズムなどがわかる内容になっていますので、最後まで読んでいただければ嬉しいです。

前提:自律と他律

まず前提として、自律と他律についてお話しておかなければなりません。

感嘆に言うと

自律=自分の価値判断で行動すること

他律=他人の価値判断で行動すること

です。

例えば、「綺麗に絵がかけたから、もっと描きたい。上手になりたい。」これは自律です。

反対に「綺麗に絵を描けたら、褒めてくれた。だから、もっと上手になって褒められたい」これは他律です。

それをする判断基準が、自分にあるのが「自律」、他人にあるのが「他律」なのです。

なので、「ご褒美がもらえる」、「叱られないように何かをしない」というのも他律です。

さて、どちらが重要かというと・・・

どちらも重要です

しかし、幼児期には特に自律を身に着けることが必要だと考えています

今の社会では、他者の評価や、他者からどう見られるかなどを考えることも必要な能力です。

マーケティングなどはその最たる例かもしれません。

自分のしたいことだけをし続けて生きていける人もいるかもしれませんが、ごく一部です。

ですが、その根幹には自律的思考がしっかりと育っていないと、他者に振り回されることになってしまいます。

「人が見ていなければいいや」という考え方にもなりやすいでしょう。

日本では小学校以降、他律的な評価をされることが多くなります。

テスト、通知表、受験、部活など。

どうしても他律的な考え方になりがちです。

なのに、幼児期でも他律的な価値基準ばかり植えつけられたらどうなるでしょう。

それは他人の目ばかり気にする子になっても仕方ないと思います。

なので、幼児期にベースとなる自律的思考をしっかりと身に着けることが必要なのです。

「褒める」、「ご褒美」=他律

さて、「褒める」というのは他律です。

行動原理としては実は「叱る」と一緒です。

「褒められるからやる」でも、「褒められなけらばやらない」

「叱られるからやらない」でも、「叱られないならやる」

どちらも「誰かに何かを言われるからやる(やらない)」という考え方です。

「ご褒美」も同様ですね。

「それでやるならいいじゃん」と思う方もいるかもしれません。

しかし、ここには大きな落とし穴があるのです。

それは「好きでやっていたことが、好きではなくなってしまう」可能性があるからです。

基本的にみんな最初は「好き」「やりたい」からなにかをしていると思います。

塗り絵、運動、お絵描き、文字の読み書きなどなど。

ですが、それを大人に見せた時、「すごいね!」「上手だね!」と褒めます。

人によっては「褒める」ことがいいことだと思い盛大に褒める人もいるでしょう。

すると「満足いく結果が嬉しい」が「褒められて嬉しい」へ。

「もっと上手になりたい」が「もっと褒められるために上手になりたい」へ変わってしまいます。

それは同時に「褒められないならやらない」

もしくは「褒められるためにもっと頑張らなきゃ」になってしまうのです。

ここに「それ自体が好き」という気持ちはあるでしょうか?

ご褒美も同様です。

例えば、お手伝いをしていた子がいるとします。

子どもにとってのお手伝いは「楽しい遊び」であることが多いです。

そこでご褒美を与えるとどうなるでしょう。

「楽しい遊び」が仕事に変わります。

すると、自発的に楽しくやっていたお手伝いを、ご褒美がもらえなければやらなくなってしまいます。

もちろん、そこには面白さもありません。

では、どうすればいいのか?

「なにも言えないじゃないか!」という声ももっともです。

ですので、次の章では「褒める」ではない、「認める」ことについてお話していきたいと思います。

「認める」=自律

この章では「認める」ことについてお話していきます。

日常では「褒める」と「認める」はほぼ同義で使われることが多いのではないかと思います。

ですが、子育て・保育の場面では天と地ほどの差があります。

それは「認める」が自律的な力を育む関わり方だからです。

まず、「認める」とはどんなことなのでしょう。

「認める」というのは「相手の努力、工夫、過程などを認めること」です。

その「成果・結果」を認めようとすると「褒める」になりやすいので注意が必要です。

例えば、「鬼ごっこで一番になった」とします。

そこで「一番すごいね!一番足が速かったんだね!」と「褒める」と、一番へのこだわりや執着へ繋がります。

それは「一番じゃなければやらない」という鬼ごっこへの楽しさも失わせてしまうかもしれません。

では、「いつも鬼ごっこしてるし、走る練習もたくさんしてるもんね。だからきっと一番になれたんだね」と声をかけてみます。

どうでしょうか?

勝てた嬉しさと一緒に、「たくさん走ったり練習したから速くなったのか」「もっと練習して、もっと速くなろう」など、気付きや発展に繋がっていきます

どちらも褒めているように見えて、大きく違うことに気付いてもらえたと思います。

「認める」というのは、「好き」「楽しい」を損なわせず、より意欲を引き出していく関わりなのです。

また、結果ではなく過程に目を向けることで、「上手」「下手」といった「他者評価」ではなく、「満足いくか、いかないか」という「自己評価」をする習慣にもなります。

そうすることで他者を気にせず、「好きだからやる」という自律的な思考を身に着けていくことが出来るのです。

アクションプラン:「認める」

ここまで、「認める」の重要性をお伝えしてきました。

しかし、この「認める」というのがとても難しいのもまた事実なのです。

そこで、どうしたら「認める」関わりが出来るのか。

簡単なやり方をお伝えしていこうと思います。

まず、当たり前ですが、日頃から子ども自身やその作品などをしっかり観察していなければいけません。

「認める」というのは「成長を認める」ことだからです。

点で見ても成長はわからないので、線で見る必要があります。

「足が速くなった」「塗り絵の配色が増えた」「出来るパズルのピースが増えた」「作品にこだわりのポイントを入れるようになった」などなど。

前と違ったところを見つけていかなければいけないのです。

これは一朝一夕では中々出来ません。

でも、「認める」ことの大切さを意識しつつ、言葉選びなどに気をつけていると、徐々に慣れてくると思います。

同時に、子どもの成長を大人も見えるようになるので、成果や結果に一喜一憂することや、他と比べることが少なくなるのも大きなメリットだったりまします。

ただ、子どもの成長は慣れるまで待ってはくれません。

そこで使いやすい言葉かけをいくつか紹介しておこうと思います。

1、聞き返す

例えば「どうしてそんなに速くなったの?」「なんだかいつもより色がたくさんじゃない?」など、聞き返すことで、子どもに努力や工夫を教えてもらう方法です。

これだと、次の話にも繋がりやすく、一緒になんで成長したのか考えることもできます。

2、目に留まったところを言ってみる

例えばブロックでなにかを作ってきたときなど「ここの出っ張ってるのかっこいいね」など、とりあえず目に留まったところを言ってみます。

すると、「これはすごいジェットが出て、速く飛べるんだよ」など、こだわりのポイントを教えてくれます。

3、○○そうだね

これは絵や制作でよく使います。

例えば新幹線の絵を描いてきた時、「速そうだね」「ビューン!って走っていっちゃいそう」など、その絵に合わせた感想を言ってみます。

すると「そうなんだよ!おばあちゃんちまですぐ行けるよ!」と描いたものや作ったものを得意げに走らせたりします。

「上手だね」と言いがちですが、それだと「上手」「下手の」価値基準になってしまいます。

作品そのものを「認めて」いきましょう。

これらはよくある場面かつ、とても使いやすい「認める」言葉です。

まずはこれらを使ってみてください。

ただ褒めていた時との子どもの反応や、話の広がり方の違いが実感できると思います。

注意:小さい頃には褒めるが有効

最後に一つ注意点があります。

それはこの方法には、ある程度の言葉の理解度と見通しを持つ力が必要だということです。

言葉を聞いて、過去→現在→未来をひとつながりに考えられるからこそ、自律へと繋がります。

そのため、そういった認知発達がまだ進んでいない子にはわかりにくいだけになってしまいます。

なので、3歳くらいまでは単純に褒めたり、出来るようになったことを喜んだり、「こんなこと出来るようになったの!?」という単純な驚きなど、わかりやすい感情の共有をしていくことが大切になります。

そして、3歳を過ぎた頃から、その子の発達に合わせて、わかる言葉、わかる範囲で「認める」関わり方へ移行していくのがよいと思います。

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は混同されやすいけれど、その行動原理がまったく違う。

「褒める」と「認める」という関わり方についてお話してきました。

まずは知識としてだけでも、頭の片隅に置いておいていただけたら嬉しく思います。

参考文献

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