作:影山徹 出版:岩崎書店
誰もが知っている桃太郎。
いつもは桃太郎の、後ろや横からの平行視点で見ていることと思います。
では、空の上から俯瞰視点で見てみたら。
桃太郎の歩んだ道のりはどんな風に見えるのでしょうか。
あらすじ
スタンダードな桃太郎と一緒です。
『空からのぞいた桃太郎』の素敵なところ
- 桃太郎+道のり=桃太郎の大変さ
- 半端じゃない鬼の量
- 迷路や絵探しのような面白さ
この絵本の特徴はなんと言っても、俯瞰視点で見ることで、桃太郎のお話に「道のり」の概念を取り入れたことだと思います。
桃太郎のお話を良くも悪くも、テンポよく進んでいきます。
その分、わかりやすく誰もが楽しめる魅力があります。
しかし、本当の旅はそんなにテンポよくは進みません。
旅だけでなく、川に洗濯に行くにも家からかなり歩きます。
桃を抱えて家に帰ってくるなんて、なおさら大変です。
「こんなに歩いたんだ・・・」とびっくりします。
「おばあさん力持ちだね」
「大丈夫かな」
と関心や心配の声も聞かれます。
犬、猿、キジと会うのだって、平坦な道ではありません。
犬には切り立った山間の道で会い、猿には荒涼とした道で会いと、そこまでの道中も相当なものです。
鬼ヶ島へ行く船路もそれは大変。
渦を巻く海原を、船をこいで進んでいくのです。
そして着いた鬼ヶ島。
門を隔てて、鬼が島の中も丸見えです。
そこには信じられない数の鬼の姿。
そんな大量の鬼が全員で襲ってきます!
・・・が、その鬼たちを全員退治してしまう桃太郎。
大量の鬼が道にぎっしり突っ伏している姿は壮観です。
見ただけで、桃太郎の鬼のような強さが伝わってくるのです。
さて、桃太郎に注目しても面白いのですが、その道や背景に注目しても面白いのがこの絵本。
道は全体的に迷路のように入り組んでいて、トンネルの繋がりや、海の渦を避けるなど、迷路のような楽しみ方も出来ます。
また、背景は遠くまで描き込まれていて、桃太郎の家の周りの様子や、桃太郎が入ってくる前の鬼が島の中の様子など、普段の桃太郎では見ることが出来ない、風景や情景が広がっています。
「こんな風になってたんだ」
「あ、お店がある」
など、子どもたちも発見を楽しみながらじっくりと桃太郎の世界を見渡していました。
視点を変えるだけで、こんなにも違って見える桃太郎。
桃太郎を耳にタコができるほど聞いた人でも楽しめる絵本です。
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