ばけものでら(4歳~)

絵本

文:岩崎京子 絵:田島征三 出版:教育画劇

夜になると化け物が出るという寺。

そんな寺に一人で泊まったらどんなことが起こるでしょう。

怖く、楽しく、ちょっぴり物悲しい・・・。

色々な気持ちを感じさせてくれる絵本です。

あらすじ

昔ある村に、荒れた古寺があった。

旅の坊様がやってきて、古寺に泊めてもらおうと声をかけたが、誰も出てこなかった。

通りがかった村人に古寺のことを聞くと、そこには化け物が出るという。

しかし坊様は「ばけもんに会ってみたかった」と古寺に上がり込むのだった。

坊様は古寺を一通り掃除すると寝てしまった。

真夜中、本当に化け物が現れた。

なんと、化け物たちは坊様の周りで踊り出したのだ。

さらに本堂の隅などからも、化け物がやってくる。

その騒がしさに目を覚ました坊様は、一緒に踊り出してしまった。

その踊りや歌を見て、化け物たちも大盛り上がり。

一晩中踊り明かしてしまった。

朝になり、化け物たちは一人一人消えていき、坊様一人になっていた。

さて、翌晩。

また、化け物たちが坊様の所にやってきた。

「坊様うたえや」「坊様おどろや」と言う化け物たち。

しかし、その正体に気付いていた坊様は・・・。

『ばけものでら』の素敵なところ

  • 怖さと楽しさの緩急
  • かわいく見えてくる化け物たち
  • 坊様の本当の優しさ

この絵本はタイトルの通り、化け物の絵本です。

最初は不気味な雰囲気で始まります。

化け物が出る荒れ果てた古寺。

村人の怖がりよう。

そして、真夜中になり本当に出てくる化け物たち。

その不気味さに目を背ける子どもの姿も。

でも、なにやら悪さをするでもなく、踊って騒ぎ出す化け物たち。

子どもたちも「おや?」と思い始めます。

さらに踊り出す坊様の楽しそうな姿。

褒めてくれる化け物たち。

ここまで来ると、不気味さはどこかに行ってしまい、楽しい雰囲気一色に。

坊様に懐く化け物たちもかわいく見えてきます。

子どもたちも、

「ともだちになってよかったね」

「また出て来てくれるといいね」

と、すっかり化け物の味方になっていました。

しかし、一緒に騒いだり、楽しんだりするだけではその化け物たちは報われません。

坊様はそのことに気付きます。

そして、行動します。

一見厳しい坊様の姿。

その表情。

でも、それは本当の意味での優しさなのです。

そこには少しの物悲しさが漂います。

怖いだけじゃない。

楽しいだけじゃない。

怖くも楽しくも物悲しくもある。

そんな奥深い、かわいい化け物たちのお話です。

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