作:柴田ケイコ 出版:PHP研究所
ステーキ、餃子にから揚げなど、とっても美味しい肉料理。
一匹のシロクマが肉が好き過ぎて、そんな肉料理たちと一体化してしまいました。
ちょっぴり不思議で、美味しそうで、お腹が空いてしまう絵本です。
あらすじ
あるところに、お肉を食べるのが大好きな食いしん坊のシロクマがいました。
ある日、シロクマは思いました。
「大好きな肉料理の中に入ったら、どんな感じなんだろう・・・」と。
そこで、まずはステーキに入ってみることに。
あつあつジューシーなステーキの上に寝そべっているシロクマには、綺麗に焼き目がついています。
次はローストビーフ。
一口食べたら、口の中でとろけます。
シロクマは肉を巻いて作った花の中に納まっていました。
さらに肉巻きとも一体化。
どんな野菜も肉で巻いて美味しくしてしまいます。
シロクマも肉に巻かれてお皿の上に並べられていました。
その後も、ロールキャベツに焼き鳥、小籠包など色々な肉料理と一体化。
どれもこれも美味しそう。
さて、肉料理に入っていたシロクマでしたが、自分が食べる晩御飯にも大好きな肉料理が出て来てくれました。
一体その肉料理とは・・・。
『にくにくしろくま』の素敵なところ
- 美味しそうな絵と、美味しさを引き立たせる文章
- 肉料理と幸せそうに一体化するシロクマ
- 読んだら絶対肉が食べたくなる
この絵本最大の特徴は、美味しそうで匂いまでしてきそうな肉料理の絵です。
ステーキの肉々しさ、小籠包の肉汁、餃子の香ばしそうな焼き色。
その肉料理の美味しそうポイントが、全て凝縮されているのです。
さらに、そこに説明文が加わります。
ローストビーフでは、
「一口食べれば、口の中でとろける~。」
小籠包では、
「肉汁、ドバッ。」
餃子では、
「皮はパリッとカリカリで、中からじゅわっと肉汁が出て来るよ」
と言った具合に、読んでいるだけで口の中に味が広がってくるようです。
子どもたちからも絵を見て「美味しそう!」「食べたい!」。
文章を読んで、「わ~・・・」「お腹空いてきた・・・」「そうそう、パリパリして美味しいんだよね・・・」と、味を思い出し、リアルにお腹が空いた声が聞こえてきました。
そんな肉料理に、自然に混ざっているシロクマ。
その顔はどれも幸せそう。
最初は「え~、料理になちゃうの?」「私は食べたい!」と言っていた子も、シロクマの姿を見ているうちに、「気持ちよさそうだな・・・」「やってみたい」と心変わり。
すっかり、自分だったらどこに入るかとい話でもちきりになっていました。
さらに、しれっと家族が増えていくシロクマも面白いところ。
最後は父、母、妹も幸せそうに肉料理に入ります。
しかし、この絵本にも難点があります。
それはその日の晩御飯が肉料理じゃなきゃ嫌になってしまうことです。
頭の中が完全に肉モードになってしまいます。
残った野菜を使わなければいけない時も、冷蔵庫の中に肉がない時にもです。
それくらい、肉の魅力が詰り過ぎているのです。
読んでいると、出てくる肉料理の、匂いも味も食感も頭の中で再生されてしまう。
物凄く肉が食べたくなる絵本です。
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