作:長谷川義史 出版:絵本館
頭がラーメンの女の子ラーメンちゃん。
困っている子がいると、持ち前のラーメン技で元気づけてくれます。
奇想天外なラーメン技の数々と、ラップのようなリズム感が癖になる絵本です。
あらすじ
頭がラーメンどんぶりの女の子、ラーメンちゃんがやってきました。
ラーメンちゃんが歩いていくと、泣いている男の子を見つけました。
ラーメンちゃんは鳴門を持って言いました。
「なんとかなるとー」
泣いている子は泣き止みました。
次に一人ぼっちの子を見つけました。
ラーメンちゃんはしなちく持ってごあいさつ。
「しなちーく、よろちーく」
女の子と友だちになりました。
さらに行くと、元気のない女の子を見つけました。
ラーメンちゃんはほうれん草を持って言いました。
「ほうれんそう、元気出そう」
女の子は元気になりました。
今度は頭から麺を出していくラーメンちゃん。
どんどんどんどんどんどんどんどん出てきます。
一体何が始まるのでしょうか・・・。
『ラーメンちゃん』の素敵なところ
- 軽快なラーメンダジャレ
- ラップのような心地いいリズム感
- ステージのような一体感
まず特徴的なのはみんなを元気づけるラーメンダジャレの数々です。
困っている子を見つけると、軽快に飛び出すダジャレたち。
困っている子も、見ている子も大笑い。
どちらも笑顔にしてくれます。
でも、魅力はダジャレだけではありません。
そのラップのような、リズミカルな文章運びもとても心地よく、聞いている人を明るい気持ちにしてくれる力があります。
そして、そのリズムが止まった時、ダジャレが繰り出されるので、子どもたちも心の準備が出来るのも面白いところです。
ノリノリで見ていた子どもが、リズムが止まり、ダジャレが飛び出す直前、しーんと静かになる様子は中々印象的でした。
そんなリズム感を大切にした絵本ですが、随所に子どもたちもやりたくなる工夫が散りばめられています。
まずはラーメンちゃんが登場した時や、解決した時に入る「パチパチパチパチ」という拍手の音。
読み手が口で言いながら、ちらっと物欲しそうな目線を向けると、子どもたちもしてくれます。
さらに読み進んでいくと、自分から拍手をしてくれるようになります。
次は「GO!」と言う場面。
リズミカルに出てくる「GO!」に、いつの間にか子どもたちも「GO!」と拳をあげながら声に出ています。
これらの子どもたちが絵本の一部を担い、また、最後に近づくにつれリズムのテンポも盛り上がりも加速していく作りは、ライブのステージを思い起こさせます。
読み終わった時、一緒に絵本を読んできたような、会場の不思議な一体感を感じさせるのです。
読めば読むほど子どもとの一体感が上がり味が出る。
まるでラーメンのような奥の深い絵本です。
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