作:おくはらゆめ 出版:白泉社
優しいキツネさんの「やすんでいいよ」。
それは包み込まれるような安心感のある言葉。
自分も「やすんでいいよ」を言ってもらいたくなる。
そして、言いたくなるあったか絵本です。
あらすじ
キツネさんがトンボさんに言いました。
「トンボさん、トンボさん、休んでいいよ」
トンボさんは、キツネさんの指にとまって休みます。
「やあ、らくちんらくちん」
キツネさんは、トンボさんを休ませながら、チョウチョさんに言いました。
「チョウチョさん、チョウチョさん、休んでいいよ」
チョウチョさんは、キツネさんの鼻にとまって休みます。
「はあ、らくちんらくちん」
キツネさんは、トンボさんとチョウチョさんを休ませながら、リスさんに言いました。
「リスさんリスさん休んでいいよ」
リスさんはキツネさんの腕の中で休みました。
「ふう、らくちんらくちん」
どんどん休ませてくれるキツネさん。
でも、キツネさんは疲れてしまわないのでしょうか。
『やすんでいいよ』の素敵なところ
- かわいく温かみのある絵でのわかりやすい繰り返し
- 言われたい、そして言いたい「やすんでいいよ」
- 最後はキツネさんも・・・
この絵本に出てくる生き物たちは、どれもふんわり温かみがあります。
そんな温かな生き物たちの優しいやりとり。
見ているだけで、こちらの心も温かに。
見ているだけでも「キツネさん!」「リスさん!」と楽しめますが、文章や展開も決まり文句での繰り返しで、とてもわかりやすく、読みやすく出来ています。
子どもたちからも「やすんでいいよ」や「らくちんらくちん」の声が聞こえてきます。
一緒に言いたくなる「やすんでいいよ」。
このやり取りを子どもとして、ぎゅーっとしながら休ませてあげると、子どもからも「先生も休んでいいよ」という言葉が。
優しくされると、自分も優しくしたくなるようで、この絵本を通して、優しさの連鎖が生まれていました。
また、どうやって休ませるかを真剣に考えていたのもおもしろいところ。
キツネさんの、指や鼻、腕に尻尾など、色んな休ませ方をしている所に影響を受けたようでした。
体全体を使ってみんなを休ませてあげるキツネさんですが、中々重そうで大変そうです。
そんな中大きなクマさんが現れます。
これには子どもたちもびっくり。
「クマさんは乗せられないよ!」と困り顔。
ですが、クマさんから出た言葉は予想外のものでした。
頑張るばかりでなく、自分も休んでいいんだよ。
そんな言葉が聞こえてくるような、みんなでのんびり休みたくなる絵本です。
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